住宅展示場以外で、オープンハウスとして建売住宅が販売されている光景をよく見かけます。住宅メーカーの方で土地を取得し、その上に自社の建物を建築してから販売する方法ですね。土地を含めて売却するため、単に建物の建築を請け負う以上に金額が高くなり、当然利益も残ります。そのため、大小問わず、住宅メーカーや販売企画会社が競って都心部でも郊外でも住宅用の土地を購入しています。それが現在の不動産投資を過熱させている一因となっているとも言えますね。
建売住宅は売主側に利益をもたらすほか、買い手にも実際の住居を見たうえで購入することが出来るというメリットがあります。その上、立地や周辺環境も確認できるので購入の意思もはっきりとできるので、売却決定までが速いと言われています。その反面、戸建て住宅の新築販売戸数が減少していく現況では、供給過多になっている場合もあり、簡単には売れない状況になってきているともいえるのです。
私が懇意にしている住宅メーカーの方から聞いた話では、こういう状況では顧客からの評判で売れるか売れないかが決まるとの事です。その評判というのは、購入するまでの営業対応はもちろんですが、現在進行形のアフターサービスまで含まれているようです。特に、この購入後、入居後のアフターサービスの対応1つで、その住宅メーカーの評判はかなり変わってきます。
今回は、建売住宅が売れない理由として、アフターサービスの違いについてお話しします。
私も不動産投資の売買を担当する前に、住宅のアフターサービスに関する仕事を担当していました。新築の戸建住宅を売却後、不具合があれば対応する部署にいましたので、前述した住宅メーカーの知り合いの話にはうなづけるところがあります。
10年くらい前までは、住宅販売後、何か建付けが悪かったり、雨漏りがしていたり、壁にヒビが見つかったりすれば、その度に建築担当者が調査し、修繕していたものです。そのほとんどが無償で対応することが多く、住宅メーカーも緊急性をもって対応することはありませんでした。しかし、5年ほど前より、住宅の瑕疵に対する問題も大きく取り上げられたこともあり、販売前に不具合はなくしておくこと、引渡し後の不具合は所有者責任であること、保証期間内はメーカー保証で修繕できることなど、アフターサービスについてもシステム化されていきました。
この流れに乗っている住宅メーカーは、定期的に無料点検を実施し、そこで発見した不具合について説明を行い対応する部署を作り、所有者(購入者)からも評価を得ています。それがインターネットなどで評判を呼んで、対応の良い住宅メーカーとして選ばれることになります。
私の在籍した会社も、何とかこのシステムを構築し対応できていたため建売住宅も販売し続けることが出来ているようです。規模の小さい住宅メーカーも頑張っているようですが、この流れに乗れず、クレームの後で無償対応することが多く評判を落とすところもあるようです。
大きな一生ものの資産を手にする所有者の立場になってみれば、クレームを言われてから対応する旧態依然のサービスは受け入れられないということです。建物ばかりではなく、こういうソフト面でも顧客の立場を考えた戦略が必要なのです。