3月に入り、不動産賃貸物件は繁忙期の真っ只中です。私も、25年前高校を卒業し実家を出てアパート探しをしていたこと、大学を卒業し就職のために赴任地のアパートへ引越ししたこと、結婚し新居探しをしたこと、単身赴任のため単身用マンションを探したことなどなど、3月に移動することが多くよく不動産会社に仲介してもらいました。

こういう賃貸物件を探す経験もしているから言えることですが、家賃は築年数、駅からの距離などで大体の相場が決まっています。新築、駅近物件は高く、中古、遠隔地は安く、自分の予算に合わせてある程度の賃貸できる物件は決まってきます。

私自身もそうだったのですが、同じくらいの家賃を払うなら、設備関係が充実している方が良いと思います。20年前であれば、冷蔵庫付、風呂は自動給湯器、フローリング、1Fフロントかオートロックなどが流行だったでしょうか?今はもう当たり前に設備されていることがまだ新しい感じでした。最近では、IHコンロ、浴室乾燥機、温水洗浄便座、ケーブルTV、インターネット無料だったり、wifi接続無料なども良く見かけますね。オーナーの方々も入居者確保のために色々手を打たれています。

設備に費用をかければ、当然売却時の価格も高く設定したくなるというのは仕方のないことです。ただ、設備されていることが当たり前となっている状態で設備の充実していることが売却のプラスポイントになるとは言いづらいです。

設備を充実させることで、オーナーにとってどんなメリットやデメリットがあると思いますか?今回は、不動産物件を買いたいと思っている顧客が設備に対して見ているポイントについてお話しします。

入居者自身でガスコンロを設置するのではなく、IHコンロがすでについていたり、お風呂に乾燥機機能がついた換気扇がついていると、それだけで賃貸物件のレベルが上がったように感じます。そうすることにより、入居希望が増え、家賃を高く設定したり、安易に値下がりをしないようにすることができます。これがメリットと言えますね。

一方、こういう設備系は設置されていることが前提ですので、家賃に含まれることが当然だと思うため、入居者から費用を徴収することはできません。それでも、IHコンロや浴室乾燥機は最初の設置にかかるお金がほとんどで、あとは修理代くらいで良いのですが、ケーブルTVやインターネットプロバイダー契約の費用は、毎月一定額費用が発生します。ケーブルTVを見たり、インターネットを接続する入居者から費用を徴収したいところではありますが、家賃以外に負担があると入居しない可能性もあり、こちらもオーナーが負担することが多いようです。

入居者にとってはサービスの良い物件です。しかし売却物件という観点から見れば、家賃という固定された収入に対し、費用が意外と多い物件に見えてしまうのです。こういう場合、物件価格を抑えて表面利回りが高くても、キャッシュフローはあまり残らないという事業収支となってしまいます。買い手の視線は、こういうところまで届いています。

将来、ある程度の築年数が過ぎれば売却を考えるオーナーさんは、家賃とのバランスを計りながら設備投資を考えると良いでしょう。入居者が入るなら何でも設置しておけばよいというやり方は、前述した収支からみても、後々売却しにくいのです。また、次に購入する買い手が何も設備投資する必要がないと、現況以上に価値を高めたり、入居者を増やしたりする手段を少なくすることにもなります。いわゆる「買いづらい」物件となります。

今、freewifiなどネット環境が良いことは評価が高いです。しかし、自分の物件で費用を出してまで設備する方が良いかは、物件の経営面からしっかり検討されるべきでしょう。ゴールに売却があるならば、買い手が付きやすい条件も考慮しましょう。

 
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