2017年1月の不動産市況動向が公表されています。2017年最初の動向を知る情報となるので、注目をしていた人も多いと思います。
そのデータによると、首都圏では東京都を除き成約率が減ったものの、一戸あたりの成約価格は上昇したとのことです。
富山県は新幹線開通後も人気が高い
■在庫は未だダブつき気味
昨年後半から中古物件、特にマンションにあっては中古物件の在庫は増えてきている傾向にありました。東京オリンピック関連などの影響で急増した建設ラッシュもあって、新築のマンションが増え、新築マンションに高値感がでてきました。そこで比較的に割安な中古物件に注目が集り、中古物件においても価格上昇が認められました。
その傾向は1月も続いており、中古においては、マンション、一戸建てともに成約価格の上昇があります。一方で、中古物件として売り出される件数は減少しているにもかかわらず、在庫はそれほど減少していないという状況になっています。
このことは、中古物件でも比較的状態のよい物件や設備の整った物件に人気が集中しており、それ以外についてはそれほど売れていかないことを推測させます。
中古不動産の売却にあっては、築年数や生活の利便性など立地条件によってかなりの価格差が出ると予想され、事前調査を行い、慎重な判断が望まれます。
■北陸は富山県のみが好況持続
首都圏以外に注目してみると、概ね同じような傾向にあるようです。ただ、九州新幹線や豪華列車の成功で注目が集る九州地域では、成約件数や価格も上昇傾向にあります。同じく、北陸新幹線開通で沸いた北陸地方では、富山県以外では一段落といった感じです。北海道は横ばいか、ほぼ下落となっています。
マンションリサーチ(株)が運営する不動産情報サイト「スモーラ」によると、富山県の場合、人気度(独自統計)が高く、人口増が望める地域として、住宅需要は増えると思われます。
北海道は新幹線景気も一段落し、札幌までの利便性がそれほど改善されていない影響から、2017年はそれほど活況は予測されません。しかし、厚生労働省によると、2016年の賃金構造基本統計調査では、北海道での平均月給は4年連続の増加で、住宅購入の条件としての好材料も見受けられます。
名古屋再開発で活況の中部圏は、愛知県のみ、活況を呈していますが、周辺の三重県や岐阜県への波及はほとんどなく、低調な動きとなりそうです。
■2017年は地域による差に留意
このように、地域によってかなりばらつきが出ている不動産市況。春闘も佳境を迎え、各団体(業界)で交渉が行われていますが、昨年よりも厳しい会等がされるとの見通しがされています。同時に、長時間労働の改善も労使で話し合われており、ライフスタイルが大きく変わるきっかけになる年になるかもしれません。
そのようなことから、全国的に不動産価格が上昇するのではなく、ニーズに合った物件のみに需要が集中する可能性があります。
不動産売却にあたっては、地域の需要をよく見通した行動が必要です。