首都圏の分譲マンションは2016年を通して、販売戸数は減少しましたが、全体として立地条件のよいところや、割安感のある物件に集中し、それ以外の所での明暗が分かれました。立地のよい所は、すでに割高感があり、売れにくい状況にあります。その分、割安感のある中古住宅であれば、売れる余地はありますが、今後、新築マンションも需要過多になってしまうと、全体的に値崩れを起こし、中古価格にも影響を及ぼすでしょう。
これから不動産売却を考えるなら、あえてマンションではなく一戸建てがチャンスになりそうです。
今一戸建てが再び注目されている
■東京都のマンション価格は明暗が分かれる
事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレインの調査レポートをみると、2016年に首都圏で分譲されたマンションの販売状況は、販売戸数が激減したものの、大規模な物件は売れにくく、小規模な物件に人気が集る傾向にありました。マンション着工が相次いだ東京23区内では、供給過剰となり、大規模物件では集客がなかったことに起因しているようです。
特に駅から遠い城南・城西を中心にしたエリア苦戦物件が増加しています。逆に城北エリアでは、交通利便性もよく、駅近立地の割に割安感があることから、好調が続いています。
このような傾向は都心部だけでなく、郊外や神奈川県などの首都圏でも同じような傾向になっています。
これら人気地域での中古物件は、割安感が演出できるため、売りやすいとはいえますが、新築ラッシュによって、マンション価格そのものが下落傾向になっていくことは容易に想像できます。そうなると、思った値段では売れない状況になります。売るならできるだけ早くというのが無難です。
そのような状況であっても立地条件や防犯・防災に強い物件はまだまだ需要があります。東京オリンピックの影響で乱立気味の都心を離れて、駅に近く、郊外の静かな住宅街の小規模なマンションであれば、まだまだ需要はあると考えられます。
■これからは一戸建てに注目
今までは、家のメンテナンスもあまりかからず、高階層では眺めもよいことから、都市部ではマンションに注目が集ってきました。ところが、ここにきて戸建て住宅にも光が当たりつつあります。
(株)東京カンテイが公表している平成26年度の「主要都市圏 新築と中古一戸建て住宅の供給動向」では、首都圏全体では下落傾向にあるものの、千葉県と埼玉県ではやや上昇傾向にあります。
また東京都などでは、全体的に価格は下落しているものの、一戸建ての平均価格において、中古の価格が新築を上回るという逆転現象が起きています。
同じ価格帯であれば、広い間取りの家が買えるということで、ゆったりと暮らせると人気が集っているのです。
これから一戸建て住宅の売却を考えているなら、今がチャンスです。