市街化調整区域という言葉を知っていますか?都市部で不動産売却をする場合にはほとんど気にしないでよいのですが、市街化調整区域では、建築許可が必要だったり、土地利用の転用手続きが必要だったりすることもあります。市街化調整区域などでは、勝手に家を建てることができないのです。
不動産売却をする場合に、この区域内だと、そもそも宅地として利用することができず、土地が売れないということもあります。
これから市街化調整区域の土地や建物を売却する上での注意点を見ていきましょう。
市街化調整区域の建築物は注意が必要
■市街化調整区域とは?
普段はあまり聞き慣れていない言葉なので、少しおさらいしておきましょう。市街化調整区域とは市街化地域の周辺に構成される地域で、都市基盤が整備されていない区域になります。行政用語としての市街地とは、道路、公園、上下水道が整備された地域(あるいは10年以内に優先的かつ計画的に開発される地域)です。
一方、市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」として、自治体などによる都市基盤の整備もしないことが原則で、整備される場合でもあまり積極的に行われるものではありません。
市街化区域では原則として1,000平方メートル未満(各都市での条例などで面積の範囲は異なる)の開発行為は、都市計画法による許可が不要になっています。
これに対して、市街化調整区域では(いくつかの例外を除き)許可されないことが原則です。それほど大きくない建築行為についても厳しく制限されています。つまり、勝手に家を建てられないわけです。
住宅として建築を行う場合、市街化調整区域では、一部を除き、原則はできません。
■市街化調整区域でも家は建つ
ところが、そういった郊外でも実際には住宅が建てられているのを目にすると思います。また、それでは田舎に建っている農家の住居などは売却できないのでしょうか?
実は都市計画法が平成13年5月18日に改正され、市街化調整区域で新たに住宅などを建てる場合の要件が緩和されているのです。
「市街化区域に隣接し、または近接し、かつ自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域」であれば小規模な開発はOKとなったのです。ただし、この規定を適用する地域や建物間の距離など許可基準は、自治体によって異なるので注意が必要です。
また、農林漁業用の建築物、周辺居住者の日常生活に必要な物品の販売などを行なう店舗は、すでに改正都市計画法以前から市街化調整区域内での許可対象となっています。
市街化調整区域で以前から建っている住宅をリフォームする、あるいは建替える場合は、原則、都市計画法による許可を受けなければなりません。しかし、自治体において独自の基準を設け、建て替えが可能になっているところもあります。
ちなみに、先頃「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。その内容では、市街化地域で生産緑地となっている地域に、用途地域の類型として田園住居地域の創設が新たに盛り込まれたため、住宅の建築が認められる可能性が出てきました。
このように、市街化区域、市街化調整区域では 土地売却について様々な規制があり、また、規制緩和が行われている部分も多いため、売却後の利用については自治体などに確認し、売却しやすい工夫をしましょう。