不動産売却をしたい人の中には、例えば父親所有の土地を売却したい場合もあるでしょう。ところが、その父親がすでに認知症等で自分で売買する能力がない場合、どうしたら良いのでしょうか。
こういった事態を防ぐために、生前贈与などで所有権を移しておくことが得策ですが、事故などのアクシデントで重大な障害が残ってしまうこともありますもあります。
そこで成年後見人として財産を処分することになってくるわけですが、その場合の注意点を解説していきましょう。
介護していても財産は勝手に扱えない
■そもそも成年後見人になれるのは?
自分の意志で財産の処分ができない状態に陥った場合、その管理は成年後見人に任せることができます。成年後見人になる場合、特に資格は必要ありません。普通は親族、弁護士などが成年後見人となります。
ただし、家庭裁判所では、以下の条件があれば、後見監督人(弁護士が一般的)を専任し、その監督の下で不動産売却が行われることがあります。
①親族間の紛争がある場合
②被後見人の財産が多い場合
③後見人が親族のために被相続人の財産を利用することを考えている場合
また、後見人が財産を処分できるといっても、所有権は本人にあるわけですから、自分の財産のように全く自由に売買できるわけではありません。
居住していない住宅などについては、その処分が必要で相当な理由がある場合に限られます。例えば、本人(被後見人)の施設での生活費や医療費を捻出するための売却はOKですが、親族等を援助する目的で不動産を処分することは基本的には認められないのです。
また、売却をする場合でも、例えば知り合いに非常に低額で売却することは、本人にとっては不利になり、一般の取引同様に適正価格であることが求められます。
■居住住宅の売却は裁判所の許可が必要
今住んでいる住宅の売却については、後見人が後見開始の審判をした家庭裁判所に申立てを行って、家庭裁判所の許可を得ることが必要です。今住んでいる住宅とは、例えば、本人が入院中であって、退院すれば戻ってくる場合を含みます。
許可が必要な処分には、売却の他に抵当権の設定の他、贈与や建物の取り壊しなども含まれます。
もし、家庭裁判所の許可を得ないまま売却しても、無効になってしまうので注意しましょう。
最近では、高齢者が毎月の生活費を銀行等で融資してもらうリバースモーゲージも普及してきていますが、これも自宅の担保設定が必要なため、裁判所の許可が必要になってきます。
いずれにせよ、「親の世話は自分がしているのだから、財産を処分してもよい」という考えは通用しません。しかも、不動産の処分家庭医板書の許可も必要な場合が出てくるので、慎重に、弁護士等に相談してみるのがよいでしょう。