個人が不動産を売却した場合にも、税金の控除がありますが、法人が自己保有する不動産を売却する場合も、いくつかの優遇制度があります。場合によっては、もう少し売却を延期した方が有利なケースもあります。
法人の不動産売却は経営上、重要なポイントになることも多いため、売却タイミングについては慎重に考えられなければいけません。
経営上必要な不動産売却はタイミングを考えて
■法人における不動産売却の優遇制度
法人が不動産売却をする時の優遇制度には、どのようなものがあるのでしょうか。
1)低額譲渡にかかる税金
経営的に赤字になってしまうと、所有不動産を時価価格より安くても売却して、とりあえずキャッシュを欲しいケーズがあります。例えば、時価が7,000万円の土地を4,000万円で売却したとします。見かけ上、3,000万円の損が出ますが、土地購入時の価格が2,000万円だったとすると、帳簿上は2,000万円の譲渡所得が出たことになります。しかし、実際には損が出てるのですから、税法上は売却価格と時価の差額を買主に寄付したことにして処理します。寄付した分は限度額がありますが、損金として算入できます。
この場合、【帳簿上の売却利益(2,000万円)-寄付金相当額(3,000万円)】=-1,000万円が課税額になります。
2)グループ法人税制
バブル期に取得した土地を売却したい場合、時価が下がってしっているので、帳簿上は赤字になりますが、損金としては認められません。その場合、100%出資の子会社に売却すると、親会社の方には売却損が計上でき、コストダウンも同時に図ることができます。
3長期譲渡と短期譲渡で税率が変わる
土地を購入してから売却するまでにどれくらい期間が経過しているかで税率が変わります。その境目は5年となります。
・譲渡する年の1月1日時点で5年以下の場合、税率が39.63%(短期譲渡)
・譲渡する年の1月1日時点で5年超の場合、税率が20.315%(長期譲渡)
売却時に5年を超えていても、その年の1月1日時点に遡って起算されるので、注意しましょう。
■売却タイミングは総合的に考えて
どうしても経営上現金が欲しくて不動産を売却する場合でも、相互的に考えて売却タイミングを考え、少しでも節税をして乗り切りたいものです。
先ほどの所有期間についても、ケースによっては翌年に延ばした方が節税になります。
他にも、
a)売却益が出そうな不動産と損金が出そうな不動産はセットで売却する
b)倒産防止共済(セーフティ共済)の加入で節税する(総額800万円まで掛金が経費を経費に計上できるうえ、40月以上掛けることで解約時に100%戻ってきます。
などを組み合わせることで、節税ができます。
法人が不動産売却するときには、他の経費も組みあわせて、できるだけ無駄のないようにタイミングを選びましょう。