国土交通省によれば、「10年前と比べて外国人客との売買取引が増えた」と回答した企業は84.9%と、海外投資家の日本への参入が顕著になってきています。
このコーナーでも紹介した北海道のニセコなど、注目されるエリアも話題になっています。
このような動きから、国交省は『不動産取引における国際対応の円滑化に関する検討会』を開催し、海外の投資家に向けた物件の情報共有を中小不動産会社でもできるように検討しはじめています。
不動産売却をする側から見て、海外投資家が求めるニーズとはどのようなものでしょうか。
海外投資家に空港は不可欠
■海外投資家に人気のエリアは?
海外投資家ののびは全国的に大きくなってきているものの、2016年後半からのやや円高傾向の相場を反映して、東京都内の不動産を買い控える動きも出てきました。一部の不動産業者はこれにあわせて、次なる地域の掘り起こしを模索しているようです。ただ、一部の不動産会社では、「海外の投資家による日本不動産の売買については、まだ市場が開拓しきれていないという認識を持っている。」と前向きに捉えている向きもあります。
トランプアメリカ大統領の施策により、今後も円高基調は続くと思われますが、台湾では相続税が増税されることになり、節税対策として魅力ある物件を購入する人は増えるだろうと予測しています。
また、大阪、札幌など東京以外の都市部では、まだまだ堅調で、日本全体が沈んでしまうまでの不況にはなっていない状況です。
海外投資家の人気エリアは、観光地やリゾート地に多く、例えば、オーストラリア、ニュージーランド方面からは、スキーリゾートとして北海道が注目されるように、日本人とは少し違った観点で見る必要があります。海外からのアクセスには空港が必須のため、空港からの交通アクセスが便利なところが人気を集めやすい条件になります。
■ 格安物件はまだまだ人気がある
売れ行きが鈍っている東京でも、500~1000万円の価格帯では人気は衰えておらず、堅調と言われる大阪でも300~500万円と比較的安い物件に人気が出ています。富裕層が高級マンションを購入するケースは底打ち感がありますが、交通の利便性がよく、観光地に近いエリアでは売れ行きの期待できる物件はあります。
世界的な投資として考えた場合、上海、シンガポールに比べると割安感があり、投資目的のマンションの需要が急速に減少するというのは考えにくいです。
そのうえ、世界的な低金利政策、アメリカの景気動向が不透明な中で、世界中で利回りのよい投資先を探しているような状況です。その一つの投資先として日本の不動産は有利な投資先として優先順位が高いことに変わりはないでしょう。
国土交通省が公表している「平成28年度海外投資家アンケート調査」によれば、不動産市場規模や不動産投資関連の制度の安定性などを評価する投資家が多く、安定投資できる国として、日本の不動産需要は今後も伸びていくと思われます。