不動産売却を考えている人は、価格の動向と同じように、購入の動向を見ていく必要があります。購入の動向はすなわち、需要があるかどうかの目安になるからです。
最近の動向として、購入意欲のある人は増加しているのに、購入者は増えていかないといわれています。特に新築マンションでこの傾向が顕著なようです。
東京一極集中の影響はしばらく続く
■新築マンションは価格が高い?
スタイルアクト(株)が公表した、第36回「マンション購入に対する意識調査」結果によると、「マンション購入意欲が増した」との回答は42.2%で、前回(2016年10月)より10.6ポイント増加しました。買い時だと考えている人にその理由を聞くと、「住宅ローン金利の安さ」をあげた人が、前回より微増の46.7%もいました。低金利でローンが組みやすいことが意欲の増加になっているようです。
低金利政策については、今後の景気動向によっても違ってきますが、世界的に見て金利は上昇傾向にあります。日本だけが超低金利を持続させることにいつまで固執するのか、その時期によっては不動産購入意識も転換期を迎えることになります。
すでに一部の都市部では、新築マンションの供給にだぶつきが出始めており、中古マンションの価格にも影響を及ぼしかねない状況です。今はまだ中古マンションのほうがお買い得感のある価格になっており、売却時期としてはちょうどよいタイミングともいえるでしょう。
また、不動産市況は都市部の交通の利便性がよい地域で好調で、職場に近いところが人気になっています。それ以外の地域との価格差は広がる傾向にあり、今後金利上昇の局面になった場合には、よほどの特徴がないと売却は難しくなるかもしれません。
■中古マンションは今後も好調か
新築マンションがだぶつきはじめている中でも、中古マンションや一戸建て住宅については、都市部においてまだまだ供給が不足している状況です。低金利については何人かの専門家が上昇期に入ると予測していますが、その上昇カーブは緩やかで、まだまだ購入希望者が減少するほどの金利にはならないと予測しています。
また、最近は住宅ローンがリフォームにも使えるので、低額の中古を購入してリフォームするという考えも増えてくると予想されます。
つまり、中古マンションや一戸建て住宅については、今後も需要は減少しないと見込まれ、リフォームの必要がある住宅であっても、立地さえよければ高く売れる可能性があるということです。特に首都圏の人気エリアでは価格もそれほど下がらないと予測されています。
一方で、関西圏ではすでに価格下落の傾向が認められ、都市でも一極集中の影響が大きく出ています。この傾向は社会インフラの整備など政策的なこと以外に変化するとは考えにくく、しばらくは続くものと思われます。
2016年はバブル的な価格上昇をもたらした地域もありました。そのような交通の便が悪い地域の住宅にあっては、できれば早い目に売却した方が利益が確保できる可能性が高くなります。