不動産売却が今のように活発に行われるようになってきたのは、投資目的の売買が増えてきたという理由だけではないようです。
もはや住み替えは普通のことになってきており、そのタイミングは家庭を取り仕切ることが多い女性の希望が大事になってきているようです。
家は一生ものという考えは昔の物語?
■もはや一生定住は昔の話
「家は購入したら一生のもの」、「自分の家を所有することに憧れやステータスを感じる」、そのような家に対する意識が変化し、1つの地域で住み続けるという生活の形にも変化が生じています。
不動産情報サービスなどを手がけるアットホームが調査したアンケートによれば、子供ができる前に住まいを購入した夫婦では、「将来子どもができたら住み替えを希望する」と回答した割合が16%近くいました。また、一般社団法人 不動産流通経営協会の調査では、不動産の二次取得を考える人のうち、分譲マンション購入希望者では、4割が「高齢になったら、また住み替えることを考えている」という報告をしています。
少子高齢化が言われはじめてずいぶんになり、子どもも1人か2人の家族では、子どもが成長したら家が広すぎて管理できないといった声もよく聞きます。今はライフスタイルの変化によって住居を選ぶ、そんな人が増えてきています。先ほどのアットホームの調査でも、「子どもができなければ住み替えを考える」と回答した人も16%程度おり、「子どもが生まれてくることを考えて家を購入するが、子どもが生まれなかったらちょうどよい大きさの家に住み替える」という考えがあることもうかがわせます。
■やはり住み替えを決めるのは女性
育児休暇を男性も取れるようにと政府は後押ししていますが、一方で育児休暇を取得しようとするとハラスメントを受ける「パタニティ・ハラスメント」(通称;パタハラ)という言葉が注目されています。まだまだ育児は女性のやることというイメージが強いのも事実です。
そんな中、暮らしの情報を届けているオレンジページが公表した全国で20歳以上の女性に対して行った調査によると、将来、どこか違う町や県、国へ移住する予定はあるか、という問いに対して、将来移住したい人は、すでに計画中の人も含めて38.1%もありました。
1年以内にあなたが引っ越しや移住をすることになったら、どの都道府県がよいか、という問いには、「東京」が20.2%、「北海道」11.1%、などとなっています。また、「東京」と答えた人の7割は首都圏周辺に住んでいる人たちで、便利な東京エリアの暮らしを手放してまでの移住は考えていないことをうかがわせました。
移住(引っ越し)の条件として、「交通、買いもの、通勤・通学など生活するのに便利なエリア」68.0%、「治安がよいエリア」57.9%、「天災の危険性が低そうなエリア」35.3%となり、便利で安心して暮らせる地域を望んでいます。
さらに、IXILの調査からは、住宅購入にあたって、間取りや設備について女性側が、「自分が決めることが多かった」と答えた人は36.8%もあり、最終決定は夫(男性)がするものの、重要な決定権は女性側にあることもわかってきました。
こうしてみてくると、不動産売却をするとき、女性視点での見方は相当重要なようです。