一戸建て住宅を売却する時は、建物の築年数や状態は気にしますが、意外に忘れがちなのが隣接する道路。分譲住宅であれば公道が整備されているので、問題はなさそうですが、それでもどこまでが公道で、どこからが敷地内かはっきりしない場合もあります。
もし私道があった場合、それを含んで売却されるのかどうか、あるいは隣近所とのトラブルを避けるためにどのような配慮が必要なのか、買主に告知しておかないと、あとで責任を問われることにもなりかねません。
この私道は誰のもの?
■生活に必要な道路にも種類がある
生活に必要な道路。幹線道路に近いところは利便性も高く、高く売れる可能性があります。しかし、幹線道路は交通量も多く、騒音もある程度あるので、そこから1本道路を隔てたところは案外静かで、売却時のアピールポイントにもなります。
マンションの場合は、敷地に道路が含まれる場合はありませんので、問題になることはありませんが、一戸建て住宅の場合は敷地に入っていくために私道を通る必要がある場合があります。私道の場合、自分の敷地にあっても隣の人が利用しているなど、公共性の強い場合もあります。また、所有権が曖昧で、昔から地域で共有の道(行政が管理している道路ではないが自治会等で管理されている道路)がある場合もあります。
さらに、私道を使う人がそれぞれの持ち分を共有して利用している場合、売却時にすっかり抜け落ちていて、買主には権利がなかったというトラブルも実際にあるようです。
税金にも違いがあります。固定資産税は誰でも利用できる私道であれば、免除されます。ただし私道部分が宅地と分筆されていることが条件になっていますが、自治体により未分筆でも対応するケースもあるようです。
不動産取得税、私道の登録免許税の免除、相続財産・贈与財産としての評価も非課税となります。
買主が後に道路でトラブルになった場合、売り主には瑕疵担保責任が発生することがあるので、売り主としてもあらかじめ調べて説明できるようにしておくべきです。
■普段気付かないことにも配慮を
一戸建て住宅を売却するとき、敷地に私道が隣接している場合には、登記がどうなっているのかを確かめておく必要はあるでしょう。私道であれば、自分の土地だといって勝手に車を駐車して交通の妨げになっては、消防車や救急車などの緊急車両が通行できなくて問題になります。車でなくとも、観賞用の鉢を置いている所もありますが、それは許容されるのかどうかも、意外とトラブルを避けることには重要です。
共有で管理している場合は、道路清掃も地域で集って掃除をするなどの慣習があると思いますが、買主にとっては負担に感じる場合もあるので、そういった事情も事前に明らかにしておくべきです。
住んでいる人には当たり前の話でも、新しく引っ越してくる人には慣れない慣習であることも多くあります。売却をする場合には、不動産業者も調べていきますが、買主から質問があったら、すぐに回答できるよう、細かくメモしておくと良いでしょう。