毎日のように豊洲市場への移転問題がニュースになっています。有毒物質が完全に洗浄されていない中で、謎の地下空間の存在が明らかになり、都政は混乱状態です。こういった不祥事が出ると、土地価格への影響が心配されるところですが、実は周辺地域の不動産動向は活発だというのです。
不動産投資が目的で相場価格の下落を心配している人は、慌てて売却する必要もないようです。
豊洲市場移転の影響は?
■不動産売却に風評被害の影響は意外に大きい?
豊洲周辺と湾岸エリアはかつてない人気エリアでした。東京オリンピックと豊洲市場の開発が同時進行していて、埋め立てだったところに高層タワーマンションがどんどん 建設され、投資目的で購入する人もたくさんいました。
そこに降ってわいたのが豊洲市場問題と東京オリンピックの海の森ボート会場を中心にした会場変更問題。オリンピック会場の方はどうやら予定通りの会場で開催の方向ですが、豊洲市場移転は環境アセスメントの問題も見通しが立っておらず、移転がいつになるのか、最短でも1年以上かかるということが表明されています。
築地市場に出店している関係者の中では、「すでに豊洲というネームブランドに風評被害が出ており、そこを通る生鮮品は買わないという卸会社や小売りもある」との話も出ています。原発事故の福島でさえ、5年を経過してもなお風評被害に苦しむ現状を考えると、その後豊洲についての風評被害がどうなるのか、気になるところです。
活況であった豊洲地域のマンションについても、すでに風評被害が出始めているところもあり、マンション価格も下落している箇所が認められるようになっているようです。
■今後はオリンピック開発で期待が持てる
今後の動向については、専門家でも2つに別れています。今後も下がりすぎるという意見では、豊洲に不動産を購入している人は、投資目的の富裕層も多く、その人達の心理に悪影響を与えている今回の問題は、かなり深刻だとみています。株価と同じで「売りが売りを呼ぶ」状況になり、さらに相場が下落するという意見。ただ、これは投資目的で購入する人が売ってしまえば一段落するものです。
基本的にこのエリアは、公示地価の推移をみるとリーマンショックのときも大きな下落を見せることなく、長期的には地価が上昇 傾向にあります。築地市場が豊洲に移転しないことは、これまでの投資を考えると、なかなか困難であり、安全性が担保された段階で豊洲に移転するというのが、今の東京都の考えです。また、環状2号線計画のうち、未完だった「マッカーサー道路」が実現することで、湾岸地域の都心へのアクセスが向上し、地下鉄8号線(有楽町線延伸)とBRT(バス高速輸送システム)など交通網の整備も進むものとみらます。観光面でも期待が高まっており、開発が鈍化する要素は余り見当たりません。
一時的には地価の下落はあるものの、次第に落ち着き、ここ数年の開発整備により、相場も安定すると思われます。従って、慌てて売却を考えるのではなく、長期的な視点で見ていくことが賢明な選択です。