不動産売却にあたって、相場動向は気になるもので、大きな開発事業があると、その周辺で土地や住宅の値上がりが始まります。
東京オリンピックが1,300日余りとなった現在、土地の動向はすでにその後のリニア開通に向け動き出しています。今回はリニア沿線の不動産状況について調べてみました。
リニアは日本人の生活圏を一変させる?
中部・近畿はすでにリニアの期待感が大きい
リニア新幹線について少しおさらいしておきましょう。
リニア中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法という法律に基づき、時速500kmで走行する 超電導リニアモーターカーにより、東京都を起点に、甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近を主な経過地として、終点大阪市までを結ぶ計画です。この計画が実現すれば、東京・大阪間が約1時間で結ばれることになります。
すでに平成23年5月26日、国土交通省が整備計画を決定しました。資金に関しては、
JR東海が自社負担で東京—大阪間438キロを建設するとし、事業費総額は9兆円となる見通しです。平成39年に東京・品川〜名古屋間を先行開業する予定で、平成57年には全線開業する計画です。
経路についてはほとんどがトンネルとなり、途中、飯田、中津川、名古屋、奈良を経由しますが、まだ確定していない停車予定駅もあります。地下深くのトンネルのため、沿線でも土地所有権が及ばず、路線価上昇などにはほとんど影響を及ぼしません。
途中駅の候補になっている地域や名古屋、大阪、京都ではすでに動きはありますが、途中駅が確定すると動きが今後活発になることも予想されます。
大阪・京都・名古屋の中心地での路線価上昇が大きい
リニアの影響はまだまだ少ないですが、路線価を見てみると、大阪府が1.0%、京都府が0.8%の上昇だったのに対して、兵庫県は0.3%の下落となり、少しは影響しているものと思われます。また、都道府県庁所在都市の最高路線価では、大阪市北区角田町の御堂筋が22.1%の上昇と、全国で最も高い上昇率、京都市の四条通は16.9%の上昇で全国3位の高い上昇率となっています。これはリニアの影響だけでなく、東京に比べて価格が低く、お得感があることから、投資ニーズを刺激していると考えられます。
中古マンションにおいても、首都圏よりも近畿圏のほうが成約率も価格も高くなる傾向にあります。
大阪・梅田やなんば、京都・京都駅周辺の地価の上昇傾向は高いですが、奈良市についてはやや上昇と、これからという感じです。
中部圏では、名古屋一極集中の感があります。名古屋はリニア開通とともに名古屋駅周辺の開発整備が進んでおり、相乗効果が表われているといえます。特に名駅駅前、太閤口の上昇が著しくなっています。
リニア新幹線は東京から大阪までを1時間ちょっとで結ぶ交通網で、ビジネスや観光でも大きく流れを変える可能性を持っています。特に停車駅の周辺での開発が進めば、不動産価格は今後も上昇基調は続くと思われますが、停車駅が限られるだけに、停車駅へのアクセスが悪い地域ではほとんど影響がないという、2極分化が進む可能性もあります。