こんにちは。司法書士の豊田です。
ご挨拶が遅れましたが、本年も宜しくお願いします(^O^)/
さて、過去2回に渡ってお伝えしてきました、ブラジル人相続のお話ですが、今回、3回目で完結となります。
前回は、ブラジル側の相続人と連絡が取れ、ブラジルで公認会計士をしている相続人が代表となって手続きを進めてくれることになったこと、また、ブラジル側の相続人は全面的に協力するとの約束が取れたことまでをお話ししました。
その後、その公認会計士をしている相続人(以下、代表相続人)の方から親戚中に連絡をしてもらって、こちらから送ったポルトガル語の宣誓供述書(遺産分割協議書)や死亡証明書などの書類を各相続人から続々と集めて頂くことが出来ました。
日本での多人数相続の経験から考えても、「よくこれだけの人数に早く連絡がつくものだな。」と思うくらい早く書類が送られてきましたので、その連絡の早さに驚いて尋ねたところ、彼らは、「ブラジルで一族専用のSNSを立ち上げており、既に100人以上が登録している。そこで一度に連絡ができる。」とのことでした。
国土の広いブラジルでは、日本以上にインターネットが大切なライフラインの役割をしているようです。
ともかくも、このようにして、ブラジル側相続人の結束により25名中23名までの宣誓供述書が順調に集まって行きました。
ところが、順調に進んでいた手続きの最後局面になって、ある問題が出てきました。
それは、その代表相続人の亡くなったお姉さんの子供、つまり、甥にあたる相続人だけは、姉の死後ずっと疎遠となっており、どうしても連絡が取れない、ということでした。
身近な親戚なのに?と意外に思ったのですが、そこは事情がある様子で仕方がありません。「日本に出稼ぎに行ったまま帰ってこない。」との噂はあるが、詳しくはわからないとのことでした。
昔のメールアドレスなど、手掛かりとなるものは何でも集めてもらい、連絡を試みたのですが、やはり連絡はつきません。
私も「ここまで順調に来ていたのに、ついに終わりか。しかも日本にいるかもとは皮肉。。。」と諦めかけました。
数日後、以前、アメリカ国内での相続人探しの際にFacebookで検索したら相続人がヒットしたことを思い出し、ダメ元とばかりに、その相続人の名前を検索してみたところ・・・
・・・なんと!見事に一発でヒットしました!
とは言え、同姓同名の可能性もあるので、念のため、友達欄を確認してみたところ、他の共同相続人も何人か入っていました。
代表相続人にそのことを伝えると「自分はFacebookをやっていないので気が付かなかった。すみません。」とのことでした。
その後、他の共同相続人から、その相続人に連絡を取ってもらい、名古屋のブラジル総領事館で待ち合わせたのですが、代表相続人から「ずっと疎遠だった。」と聞いて心配していたにも関わらず、会ってみると、とても協力的で逆に驚いてしまいました。そして、そのまま無事、宣誓供述をしてもらえました。
最後まで、あきらめずに、あらゆる手段を試してみて本当に良かったと思います(^_^)
そして、最後に残ったのが、意外にも、以前から連絡が付いていた、日本に出稼ぎに来ている相続人でした。
仕事が忙しくて平日に休みが取れず、なかなかお会いすることができませんでしたが、東京の総領事館で待ち合わせて宣誓供述をしてもらい、これでようやく39名全員の遺産分割協議書を揃えることができました。
そして以前から打ち合わせをしていた管轄法務局へ登記申請を行ったところ、何の問い合わせもなく1週間で登記完了!
受任してから、まる1年。
苦労した案件なのに、登記完了通知を見たときには、「あ、終わったな。」とあっけなく感じたのが不思議でした。
しかしながら、後日、登記が完了したことをご依頼者に連絡したところ、とても喜んで頂け、これによって初めて達成感を感じることができました。やはり依頼者に喜んでもらえることが士業としての喜びなんだと再発見しました。
これからも、多人数でも、外国人絡みでも、どんな困難な案件でも「あきらめない」気持ちを持って、頑張っていきたいと思います。
もし、難しい案件でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご相談くださいね(^O^)/