こんにちは。司法書士の豊田です。
自分はいわゆる脱サラ司法書士なのですが、サラリーマンを18年もやっていたため、転勤も転職も経験し、仕事も本社スタッフから営業まで、いろいろやってきました。
その中でも最も楽しかった仕事の一つに、国際電話会社での、在日外国人向けに国際電話サービスの利用促進をしていたことがあげられます。
自分の担当は、在日南米人、主にブラジル人でしたが、三年半もの間、国内のほとんどのブラジル人コミュニティを回ってイベントを実施したり、ブラジル人向け新聞に広告を出したり、逆に取材されてブラジル人向けの新聞に載ったり、と国内に居ながら海外で仕事しているような気分が味わえました。
その当時の自分は、司法書士になるどころか、一生サラリーマンを続けるものだと思っていましたので、その経験を生かそうというよりも、単純にたまたま面白い仕事をやらせてもらっているんだな、と楽しんでいました。
しかし、その後、父親が急死し、相続トラブルに巻き込まれ、それを地元の司法書士に救ってもらったことから、今の自分があるというのが、考えれば不思議で、かつ、遠い昔の事のようです。
前置きが長くなりましたが、そんなわけで、海外案件だと俄然やる気が出るという変わった司法書士の私です。
最近は司法書士業界でも、海外留学の経験を生かして英語圏の仕事をやっている方や、中国、韓国に強い方もいらっしゃいますが、ことブラジルとなると、まだまだマイナーな感じがしますね。
あまり扱っている方がいないと見えて、開業してから数年でブラジル人が関係する相続の相談をよく受けるようになりました。
その中でも、1年掛けて、日本人15名(うち放棄1名)、ブラジル人25名、最終的に39名による遺産分割協議を取りまとめた案件がありますので、ここでその体験談をご紹介したいと思います。
ご相談者からお伺いした相続財産は東北地方の土地・建物でしたが、登記名義人は50年前に亡くなった、ご依頼者のお祖父様のままとなっていました。
事情をお伺いしたところ、お祖父様の法定相続人は、先妻との間の子(ご依頼者のお父様及びそのご兄弟姉妹)と後妻さんだったところ、お祖父様の遺産分割協議が未了のうちに後妻さんが亡くなってしまったそうです。
後妻さんには子供がいなかったため、その相続分は、後妻さんの兄弟姉妹に移転することになったわけなのですが、後妻さんのお父様は一部の子供を連れてブラジルに移民していたため、後妻さんの兄弟姉妹のうちの多くがブラジルに移民し、あるいはブラジル生まれである様子とのことでした。
さらに、今では、その兄弟姉妹の大半が亡くなり、一部の連絡が取れる親戚を除いて、全体の相続関係がどうなっているかすらわからないとのことでした。
5年程前に一度、ご依頼者のお父様が地元の司法書士に手続きを頼んだことがあって、その方もいろいろと手を尽くしてくれたそうなのですが、海外相続が専門というわけではなかったため、手続きや情報の収集、言語の問題や連絡などに限界があったようで、結局、完了できずに断念、そのままとなっていたそうです。
そうしているうちに、今度はご依頼者のお父様が亡くなり、弟さんが実家を継ぐことになり、家の建替えなどの問題もあって、さすがに、これ以上放置できないと思い、ブラジルに詳しい行政書士さんを通じて、国際相続を得意としていて、ブラジルにもなじみのある私を紹介されたとのことでした。
まずは、受任を前提にお話を伺い、頂いた資料を精査してみることとしました。(次回に続く)