生前贈与のうち、毎年贈与を行う暦年贈与と一括で教育資金を贈与する教育資金の非課税贈与があります。
それぞれの特性を活かして併用することで、より手厚い教育資金のサポートと、相続税の節税対策ができます。
教育資金の非課税贈与のデメリットを補う暦年贈与との併用
教育資金の非課税贈与には、1,500万円までというルールがあります。
この額は贈与をする側にも受ける側にとっても、2つのデメリットがあります。
- ■ 教育資金として使いきれなかった分は、課税対象になる
- ■ 1,500万円では教育資金として十分ではない
進学する学校、地域、本人の能力などによって、教育資金の額は大きく変わります。
贈与を受ける側がまた年少者であった場合には、その子供の能力は計り知ることができず、教育にどの程度費用が掛かるかということは明確ではありません。
足りなくならないようにと、限度額ぎりぎりまで贈与し、結果的に教育費として使いきれなかった場合には、贈与を受けた人が30歳になった時に税金を払わなくてはなりません。
このような懸念がある場合には、一括で贈与する額を減らし、暦年贈与を併用して、様子を見ながら贈与していくことができます。
教育資金の非課税贈与をすると、後で自分に変化が起こり、生活が苦しくなっても、返却してもらうことはできません。その為、この方法には、老後に何か起きて資金難になった時に対処できないというリスクを減らすメリットもあります。
反対に、幼稚園から大学まで私立に行った場合には、1,500万円では賄いきれません。
また、学校にかかる費用以外に、習い事に高額な費用が掛かる場合もあります。
校外学習に対して使える費用は、贈与額の中から500万円までと限られている為、賄いきれなくなる恐れがあります。
このような状況が想定される場合には、限度額まで一括贈与し、校外学習の補助として暦年贈与を併用することができます。
ここで注意しておかなくてはならないことは、教育資金に高額な費用が掛かる場合、複数の人からであっても、限度額以上の教育資金の非課税贈与を受けることはできないということです。
贈与をする側、受ける側もともに、贈与をする人、受ける人の人数の制限はありませんが、父方、母方の両方の祖父母から、それぞれ限度額まで贈与を受けることはできません。
両方の祖父母から贈与を受けたい場合には、両方を合わせた額が限度額以内である必要があります。
資産の状況、贈与する相手の進路に合わせて、上手に組み合わせて利用しましょう。