遺産分割は、遺言書があれば遺言書の指示に従うことが最優先です。
遺言書がなければ、民法の定める規約に従って分割されます。
けれども、遺言書があっても相続人の中に遺言書の指示に不満を持つ人がいた場合や、遺言書の内容が遺産分割全てに対しての明確な指示ではなかった場合があります。
また遺言書がなく法定相続分で遺産分割する場合、家族の事情を考慮すると民法の定める規約では公平に分割できないことがあります。
そのような場合には相続人全員で遺産分割協議を行い、遺言書の内容や民法の定めに縛られず遺産の分割方法を決めることができます。
ただし決定には相続人全員が参加した会議であることと、相続人全員が賛成したことという条件があります。
もし遺産分割協議の結果が決定され遺産分割をした後に新たな相続人が現れた場合、遺産分割はやりなおさなくてはならなくなってしまいます。
遺産分割協議が必要になるケース
ほとんどの場合、遺産には土地や家屋などそのままでは分割できない資産が含まれています。
それらの資産を相続人全員が公平に相続できたと納得できるようにしなくてはなりません。
具体的にはどのような解決方法があるか確認していきましょう。
■ 相続人の中で家業を継ぐ人や、亡くなった人の家に住み続ける人がいるケース
相続人の中で家業を継ぐ人や、同居していた家族がそのまま住み続ける人が農地や商店、工場、家屋を相続するケースでは、他の相続人との公平性をどのように保つかということを話し合う必要があります。
相続する不動産が銀行の預貯金とほぼ同じ資産価値で、相続人が2人だった場合には現物分割という方法が取られることが一般的です。
現物分割とは1人が不動産、残りの一人が銀行の預貯金というように分ける方法です。
不動産が銀行の預貯金よりはるかに資産価値が高かった場合や相続人の人数が多い場合には、現物分割では不公平になってしまうので代償分割という方法が取られることが多くあります。
代償分割は不動産を相続した人が、自分の資産の中から他の相続人に額分を支払うという方法です。
■ 家業もなく、亡くなった人と同居していた相続人もいないケース
全ての遺産を売却し、現金に換えて均等に分割する換価分割という方法を取ることができます。
→ 遺産分割協議で全員の同意が得られない場合には、家庭裁判所で調停をしてもらうことができます。