親であれば自分の子供はかわいいものです。
どの子供にも公平に自分の築いてきた資産を分け与えたいと考えるが普通です。
でも、もし子供の中に長年に渡り家族に甚大な迷惑をかけてきた者がいたとしたらどうでしょうか?
そのような場合に備えて、民法には法定相続人であっても相続をさせない相続人の廃除という規定が定められています。
被相続人に対する虐待、重大な侮辱、著しい非行があった場合には相続人の廃除を家庭裁判所に申し立てる、又は遺言でその意思を表明することができます。
被相続人に対する虐待と重大な侮辱
長年に渡り子供から一方的に暴力を受けていた、食事や入浴など、最低限の人間らしい生活を営むために必要なことを日常的に阻まれていたというように、ひどい虐待をされていた場合には遺産を相続させたくないと考えても無理はありません。
また、子供が親の名前を語って社会的に影響の大きい詐欺事件を起こしたというような名誉棄損は重大な侮辱と言えます。
著しい非行
借金を繰り返し返済を親や兄弟姉妹に押し付ける、警察沙汰になるような事故や事件を頻繁におこす、というような状況が何十年も続きその結果、その子供のせいで他の子供たちが学校や勤務先で白い目で見られ子供のうちの一人が自殺してしまったとしたら、他の子供達との公平性から考えても、遺産を相続させたくはないと考えることがあるのではないでしょうか?
自分が生きているうちに排除の申立てをする方法は生前廃除
相続の廃除を自分が生きているうちにする場合は、家庭裁判所に推定相続人廃除の申立をします。
申立を受けた家庭裁判所は、相続人の廃除をするだけの虐待や非行であったかどうかということを調査した上で審判を下します。
ただし一時的な親子喧嘩による暴力や、更生の可能性が高い非行であれば相続の廃除が認められない場合もあります。
亡くなった後に相続の廃除という意思を伝えるのは遺言書
遺言で相続の廃除をすることもできます。
その場合には相続の廃除について記述するだけではなく、遺言書の指示に従って家庭裁判所での手続きと、市町村の役場へ相続人廃除届を提出を行ってくれる人を指定しておくことが必要です。