相続する遺産には不動産や預貯金の他に、負債や借金の保証人といった負の遺産もあります。
負の遺産があった場合にも、遺産は必ず相続しなくてはならないのでしょうか?
相続の方法について
相続は親や配偶者などが亡くなった時に自動的に開始されます。
その為何の手続きもしなければ、法定相続人にあたる人が法定単純承認をしたことになります。
負の遺産があった場合にも何の手続きをしないでいれば、負債や借金の保証人という立場がそのまま受け継がれてしまいます。
負の遺産を受け継ぐことを避ける為には、限定承認、又は相続の放棄をする必要があります。
限定承認
限定承認は、遺産相続で相続した資産の中から負債を返済する方法です。
もし、相続した資産が負債額より少なかった場合には不足分が免除されます。
反対に相続した資産で負債を返済し余った分があれば、遺産として相続することができます。
ただし、相続人が複数いた場合には、全員が限定承認に賛成していることが必須条件です。
一人でも反対する相続人がいれば、それぞれが相続放棄をしなくてはなりません。
相続の限定承認をする為には、相続の開始から3か月以内に、申立てをする必要があります。
その場合には、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述書と家庭裁判所が定める書類を揃えて提出し手続きを行います。
家庭裁判所に申述書が受理された後は、5日以内に遺産の限定承認をしたことと債権を請求することを官報に掲載する手続きを行います。
約2カ月間官報に掲載する公告をした後に、清算や遺産分割といった手続きが進められることになります。
相続の放棄
相続する遺産をすべて放棄する方法が相続の放棄で、相続人の権利も義務もどちらも放棄します。
相続の放棄をする為には、相続の開始から3か月以内に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申立てをする必要があります。
その場合には、相続放棄申述書と家庭裁判所が定める書類を揃えて提出し手続きを行います。
ただし、相続財産が負債であったことを知らずに被相続人の死後数年経ってしまった場合には、相続財産のことを知った時点で申述書を提出することができます。
申述書が家庭裁判所に受理された後、債権者に家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたことを連絡します。
負の遺産があり、自分の力で返済した場合生活が立ち行かなくなるというようなことを避ける為には、限定承認や相続の放棄が必要です。
遺産が負の遺産であった場合や、負の遺産の相続が開始されていることに気が付かなかった場合には、あきらめずに家庭裁判所に申述書を提出する、又は法律の専門家に相談するなどの方法で自分の生活が破たんしないようにすることが大切です。