遺産相続のトラブルと聞くと、映画や小説に出てくるようなドラマチックな展開を思い描く方が多いのではないでしょうか?
広大な土地に立つ豪邸、億単位の資産などを巡って親族が骨肉の争いをするというようなイメージです。
しかし現実に多いのは、ごく普通の中流家庭に起る遺産分割トラブルです。
普通の家庭でトラブルがおこる理由
遺された遺産が不動産だけであり、遺産分割を指示する為の遺言書がなかった場合は遺産が分割しにくいことから、トラブルに発展するリスクが高まります。
特に父親、又は母親が亡くなった後、子供のうちの一人が残された親と同居していたというような状況であれば、よりトラブルはおこりやすくなります。
なぜなら、法定相続分では割り切れない家族の事情が発生しているからです。
相続人のうちの一人が残された親と同居していた場合におこる状況
同居していた相続人がいた場合
不動産以外に資産があれば、銀行の預貯金などは同居していなかった相続人、持ち家と土地は同居していた相続人というように遺産分割ができます。
しかし不動産以外の資産がなく、さらに同居していた相続人がそのままそこに住み続ける場合には、他の相続人に遺産を分割できません。
その為、同居していた相続人は土地と持ち家の評価額から、他の相続人が受け取る権利のある遺産に相当する額を算出し、遺産を分割する必要があります。
このような場合、同居していた相続人に支払い能力、生活能力がなく持ち家を出ると生活に困窮する恐れがある、他の相続人は自分の相続分を求めているというような状況であれば、遺産の分割は難しくトラブルに発展する可能性があります。
同居していた相続人(息子)嫁が残された親の介護をしていた場合
法定相続分のない息子の嫁にも、遺産を分割したい旨を記述した遺言があれば、介護をしていた息子の嫁が遺産を受け取ることができます。
しかし遺言がなければ、どんなに献身的に介護をしてきたとしても遺産分割は受けられません。
このような場合、同居していた夫婦と他の相続人の間に遺産分割の方法に関するトラブルがおこる可能性があります。
トラブルを避ける為に大切なことは、家族のコミュニケーション
両親のうちのどちらかが亡くなり、相続人のうちの一人が残されたと親と同居することになった場合には、「残された親が亡くなった時や介護が必要になった時にはどうするか」ということを話し合っておくことが大事です。
縁起でもない…と考えず、残された親も含めて家族全員で話し合い納得し合っておくことが、将来の円滑な遺産分割に繋がります。