近時、大ヒットしている映画「君の名は」
ストーリーとしては、東京の四谷・若葉町近辺に住んでいるらしい男子高校生・瀧と
岐阜県飛騨地方の山奥の集落「糸守」で、東京にあこがれを抱いている女子高生・三葉が
魂だけが入れ替わり、瀧の魂が三葉に、三葉の魂が瀧に…となって、
2013年10月4日に彗星が…となって色々と起こる話である。
(余談だが燕党の筆者は、この日は神宮球場でバレンティン選手の日本記録60号本塁打という別の彗星を見ていた記憶が…(笑))
筆者も映画を見て、色々と感じたのだが、不動産鑑定士としての筆者が気になるのは、
「では、彼らが入れ替わったら、将来、相続が発生した時に得られる家屋の財産がどの程度か」という点である。
て、事で、早速検討してみた。
映画を見た限りで詳細設定は不明であるが、瀧は東京・四谷近辺・たぶんJR四ツ谷駅近辺、それも須賀神社に近い
若葉町近辺のどこかのマンションに住んでいると推定される。(あくまでも推定ですが…)
このマンションが賃貸マンションか分譲マンションかは筆者の見る限りは判読困難であったが、
仮に父親が所有する分譲マンションの1室と想定しよう。
で、若葉町近辺の最近2年間の分譲マンションの取引動向を、
国土交通省「不動産取引価格情報」に基づき検索すると下記となった。
マンションの規模や築年が不明なので難しい面はあるが、映画を見た感じでは築10~20年位なのかなと、
そして瀧専用の部屋があるので父親にも部屋があると思われるから、このマンション1室には複数の部屋があるっぽい。
だから、勝手に2DKか2LDKと推定するが、上記の検索結果では10事例あり、平均6,600万円である。
従って、瀧は少なくとも映画の時点では公正価値が6,600万円前後のマンションに居住…とは推定される。
まあ、行動範囲が基本的に新宿・渋谷・六本木とかの基本的には都心周辺であるから、
親もその程度の価値のあるマンションに住んでいても不思議ではない。
と、いうか、賃貸であれば無理して都心の若葉町に借りずに、
もう少し郊外で大きな物件を賃貸してもとは思う(ものすんごく余計なお世話ですが…)。
一方、個人的には入れ替わった状態の三葉の体に憑依した瀧の魂に「足を閉じて座れ!人生の基本!」と
お怒りだった(男性的にはまったく基本ではないが…)のが妙に印象的だった三葉は飛騨の山奥・糸守在住とのこと。
糸守自体は架空の集落であるが、飛騨市のJR東海・高山本線の飛騨古川駅まで特急「ひだ」で行ってから車だから、
飛騨市内の奥地と「概ね同水準」の不動産取引動向であると推定される。
なので、飛騨市の「土地+建物」の「住宅」取引動向を検索してみた。
価格帯が高いものから上に表示されるように検索したのだが、新築年月日が不明な1件を除き昭和55年以降の新築。
しかも、新築年月日不明の1件はよく見ると用途地域が「商業地域」とあるから、
どうみても田舎の旧家である三葉の家とは環境が違う。
そして、それ以外となると、その取引価格は1,000万円以下。
従って、大変申し上げにくい話ではあるが、たぶんおばあさんの所有登記がなされているであろう三葉の家は、
公正価値というか、ざっとした換金価値は1,000万円に届かないのでは・・・と推定される。
と、いう事はである。
うっかり、瀧と三葉が入れ替わり、彗星の落下等の突発事態がないとしたら
将来、親の相続が発生した時に得られる財産の価値が、仮に瀧の居住マンションが分譲マンションとの前提であれば、
瀧が5,000万円以上の損をするという事となる。
※三葉には妹の四葉がいるので、1,000万円弱の不動産価値を更に半分に按分するのもポイントである。
皆様、うっかり、体が入れ替わる事で、不動産で大損しないよう、気を付けましょう! ( ̄▽ ̄)