今回、ご縁を頂いて、執筆させて頂く事となりました。何がしかのご参考にして頂ければと思います。
まずは身近での話から…。
それはきっと、相続人は肝を冷やしていたに違いないお話。
重岡なおみさん(仮名)は、目黒区某所に、200坪の土地と重岡なおみさんさん自身の自宅と、長男の宗太郎さん(仮名)の住む家を残し天に召されました。
で、相続税の納税資金を得るため土地の一部を分割の上で売却する事となりました。
が、宗太郎さんは不動産の知識がないので、どう分割すればよいかわかりません。
そこで『にちりん銀行』(仮名)に200万円の報酬でコンサルを依頼する事かを検討しました。
宗太郎)コンサル料が高いので、しっかり頼みますよ。
担当者)勿論です。お任せください。但し、当行紹介の各専門士業のした業務については当行では責任を負いかねますが。( ̄ー ̄)
宗太郎)で、この土地はどう分割して、どこを売却したらよいでしょう?
担当者)こうですね。( ̄ー ̄)
宗太郎さんは、自宅が旗竿地となるこの分割案に違和感を覚えましたが、「銀行の提案だし理由があるのだろう」と、納得する事にしました。
ところで、相続税の申告期限は、相続の開始のあったことを知った日から10か月です。
そこで、大学の先輩の富田健税理士・不動産鑑定士(仮名)に税金の相談し、にちりん銀行の提案の話もしました。
富田) で、にちりん銀行さんはどういう提案なのですか?
宗太郎)こんな感じです(と、分割案を見せる)
富田) ちょっと待て! 何だこの分割は! (# ゚Д゚)
わざわざ旗竿地を作るとは何事だ。しかも入口を宗太郎さんの家に遠いところに作っているし。
これでは宗太郎さんの土地を売却する場合の価値を下げるし、将来、更に分割したくなった場合にもこれでは割れないでしょ~。(´;ω;`)
宗太郎)えっ、じゃあ、どう分割すれば…。
富田) いや、まずは極力、整形に分割すべきですよ!
宗太郎さんは納得し、富田健税理士・不動産鑑定士とその仲間の専門士業に総額150万円を払って、最終的には彼の提案通りに相続を処理しました。
ちなみに、にちりん銀行への無駄なコンサル料金200万円を節約できたのは余談。
(解説)
この事から言えるのは、「金融機関でも、とんでもない提案をする事がある」点です。
ここで今日の格言。
「金融機関の提案でも自分が納得できなかったら鵜呑みにしない事」
しかも、この件の場合、「銀行は責任を取らない」と言っている点に、「狡猾さ」もあると思います。
勿論、金融機関だって中にはよい提案をする事もあります。誠実な担当者だっています。
が、残念ながら、この場合はお世辞にも優れた担当者とは言えませんでした。
個人的には、金融機関と付き合うときは、結局は担当者の質が鍵と思っています。
責任を取らないとか、違和感を覚える提案をする担当者には、注意した方がよいでしょう。
このような場合、直接、専門士業に相談などをした上で、ご自身の不動産の意思決定に役立てて頂ければと思います。
ちなみに、富田健税理士・不動産鑑定士と筆者は全くの別人のです。念のため。