毎週木曜日配信 さんきゅう倉田「そのニュースに課税します!」

不動産や住宅と深い関係がある税金。
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、元国税局職員のさんきゅう倉田さんが、税金に係わるニュースについて解説します。

今回は、今年問題になったフリマアプリ「メルカリ」での現金の売買に関してです。(リビンマガジンBiz編集部)

元国税局職員 さんきゅう倉田です。
ぼくの中では「今年の漢字」も「来年の漢字も」ずーっと『税』です。

今年、フリマアプリの「メルカリ」において、現金が出品されていると話題になったことを覚えているでしょうか?

たくさんの人が、現金を商品として出品していました。中には「銀行、店、ATMなどで使用可能です。シワ、汚れ、折り目がありますのでご了承ください。現金書留で発送します」と言った冗談なのか本気なのか分からない注意書きが添えられ、1万円札5枚が60,000円で売られているものもありました。

ニュースになって2日後、メルカリ内での現金販売が禁止されました。
すると、紙幣を折り紙にした「ターバン野口」や「魚のオブジェ」や、2万円チャージしたSuicaなど、あの手この手で現金の売買が行われました。


ターバン野口 (画像=写真AC)

わざわざ損をするのに「誰が買うのか」と疑問に思いませんか。逆に、例えば一万円札6枚が50,000円で販売されているなら、「汚いお金なのかな」とマネーロンダリングを疑いますが…。

なぜ、この取引が成立するかというと、メルカリがクレジットカード決済を携帯電話の引き落としと一緒にできる「携帯決済」が可能だという点が重要です。つまり携帯決済を利用して、クレジット枠を現金に替える(現金を買う)、マイニング(採掘)が行われているのです。多重債務者など、日常的に現金を手に入れることが難しい人たちが利用していたようです。中には、反社会的勢力のすすめでクレジットカードを使って手許の現金を増やし、賭博や生活費、返済に当てていたケースもあったようです。

こういった事案は、法律的には貸金業法出資法に違反する可能性があります。

では、税金はどうなるのでしょうか。
メルカリでの現金の売買は、一般的に非課税とされる生活用動産の売買には当たりません。雑所得になります。特に控除はありませんので、売上から経費を引いた残りに課税されます

このような犯罪まがいの収入でも、税法上は課税を免れません
これは、決して犯罪を助長・認容するものではなく、国は「収入の原因となった行為が適法であるかどうかを問わない」としているからです。

万引きも結婚詐欺も強盗も人身売買もマルチ商法も霊感商法も宇宙ビジネスも偽仮想通貨販売も、収入は全て課税の対象です。必ず、確定申告をお願いします。

なお、ターバン野口での納税はできませんのでご了承ください。

 
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