毎週木曜日配信 さんきゅう倉田「そのニュースに課税します!」

不動産や住宅と深い関係がある税金。
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、元国税局職員のさんきゅう倉田さんが、税金に係わるニュースについて解説します。

今回は、サッカー界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドにかけられた脱税の容疑についての解説です。(リビンマガジンBiz編集部)

レアル・マドリードのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが、自身の肖像権収入を隠蔽したとして、1470万ユーロ(約19億円)の脱税を行った疑いをかけられています。

クリティアーノ・ロナウドは代理人を通じて、「何も隠していないし、脱税をするつもりは全くない。私はアドバイザーたちに期限を守って正しく支払いをすることを頼んでいる。問題は嫌だからね」とコメントを出したそうです。

さて、近年脱税の話題が豊富なヨーロッパサッカー界ですが、世界最高の選手と評されるクリスティアーノ・ロナウドにも脱税の疑いがかけられました。

経済のグローバル化が進展した現代、所得や資産を、国境を越えて容易に移転することが可能となっており、納税者のタックスプランニングが当局により脱税、或いは、租税回避と取られかねない事案が散見されます。

スペインのサッカー選手の脱税スキームとして一般的な手法があります。それは、EU内でスペインより税率の低い別の国に法人を設立し、肖像権収入をスペインに持ち込まないというものです。
また、スペイン内のチームでプレイしていても、居所を持たないことで有利な税率を選択する手法もあります。

もちろん、そのような租税回避をさせないルール作りは行われています。例えば、スペインで所得税の納税義務があるかは、「暦年で183日以上スペイン領域内に滞在する場合」、また「事業活動、専門職活動あるいは経済利益の主要な核または基盤が直接的・間接的にしろ、スペインにある場合」もスペインでの納税義務があります。
以下に、列挙するのはスペインで「所得」とされるものの一部です。

・動産所得
・経済活動所得
・不動産所得
・肖像権の供与から発生する所得

クリスティアーノ・ロナウドが行なったと疑われているスキームは明らかにされていませんが、スペインでは、肖像権の供与による所得が源泉徴収の対象となっています。だから、実態のない法人を設立し権利を移転するだけでも、源泉所得税の納付を免れます。
また、この場合の源泉徴収は20%ですが、クリスティアーノ・ロナウドの年収から考えると実効税率は45%になります。節税へのインセンティブが働くのは仕方のないことかもしれません。ただ、脱税と認定されれば、罰金や懲役に処されますので、生活やサッカーへの影響も考えられます。これからどうなるかは、司法の判断次第、遠い島国の我々は見守るしかありません。

ちなみに、スペインでも、日本と同じように確定申告書を提出します。同時に自主的に納税を行い、期限は毎年6月30日となっています。

敬称略

 
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