不動産を売却するには、想像以上の精神的負担が伴います。売却までの時間がかかるほど、売却希望価格を下げなければならなくなります。
思うように進まないことによるストレスも溜まり、さらに金銭的に厳しいとなると、不動産売却=消耗戦となってしまいます。
こうした負担を軽くし、不動産をスマートに売るための工夫を提案したいと思います。
●不動産売却のスタートラインに並ぶ、その前に。
不動産売却をスマートにしようと思ったら、事前にしっかりと準備をすること。
まずは、売却する物件の売主となる人が所有者として登記されているか、調べます。
- 相続による所有権移転登記がなされていない場合は、登記手続きを行う必要があります。
✔売主が権利者(所有者)であるか
✔不動産が共有名義の場合、共有者で合意ができていて、共有者の判断能力や行為能力も問題ないか
売却に必要な書類の確認も必要です。
✔登記済権利証(2005年3月以降は登記識別情報)、取得価格・購入価格を明らかにする書類、地積測量図などがそろっているか
隣接地との関係は良好であるかも重要。
✔接面道路(幅員4m以上の道路に2m以上接しているか)
✔境界標はすべて確認できるか
✔隣地所有者の所在が確認できるか
✔隣地居住者は問題のない居住者であるか
隣地の居住者や隣地の状況によっては、不動産の価格形成に影響します。
もしも「悪条件」がある場合でも、仲介する不動産業者には事実を伝え、相談に乗っていただくようにしてください。
それから、不動産売却には、売主にも現金の用意が必要です。
✔売却にかかるお金(取り壊し費用、リフォーム費用、測量費、不動産仲介手数料、売却後の納税資金)を用意する余裕があるか
●不動産をよく見せる工夫
不動産売却は買主候補のお客様が「この物件なら買いたい。」「この売主だったら、大丈夫そう。」と、
好印象を抱いてくれるところから始まります。したがって売却物件と売主の印象の良さは重要です。
建物をリフォームせずに売却する場合でも
✔建物内外の掃除、不用品の処分、草刈り、植木手入れ
は必須。これだけでも、印象がかなり違います。
居住中の建物を売る場合は、きれいに磨いていることで印象アップ。
✔いつでも引っ越せるぐらいに、片付けておく。
✔水回りは丁寧に掃除の上、カビ除去、水垢取り、金属部分は磨く。
✔キッチンも油汚れ洗剤や住宅用洗剤できれいになる範囲は磨いておく。
それから、売主の見た目のよさも重要なポイント。
当然ながら、買主候補のお客様も売主の印象があまりに悪ければ、買いたいとは思いません。
過度に飾る必要はありませんが、
✔季節に合った清潔感ある服装で。
✔心身ともに健康そうに見える。
✔お金や生活に困っている様子はない。
✔売主として責任を全うしてくれそうな、紳士的な態度。
✔売却する物件に対して、何らかの愛着・愛情がある。
がお客様に伝わるように、心がけてください。
不動産の価格というものは、ほんのわずかな印象の違いで、10万円単位で価格が違ってきます。
ほんのひと手間と心がけで数十万円価格が変わるというのは、よくあることです。
売却をする前に準備することを周到にし、さらに売主と売却物件の見た目のよさを心掛けることで、
売却物件は買主にとって、より魅力的な物件となります。
その効果として、売却への時間は短縮されるのではないでしょうか。
あれこれストレスを溜める前に売却できれば、売却希望価格をそれほど下げずに済みます。
また、こうした作業をすることは、売主にとっても、売却しようとする不動産を改めて見つめて考える良い機会となります。
物件をスマートに売るための工夫は、売主が売却する不動産について、
売却可能な価格を自分なりに探っていく修行のようなものと考えて、取り組まれてはいかがでしょうか。