「不動産を購入したら、権利証ではなく登記識別情報という書類を受け取りました。昔は登記済権利証という
和紙の書類だったと思うのですが、どのように違うのですか?」という高齢の方からの質問がたまにあります。
法改正と電子化により登記済権利証は登記識別情報に書類が変わりました。
今回は、このことについて解説していきます。
●登記識別情報とは
従来は、登記済権利証の所有=不動産の権利者と判断されてきましたが、2004年に100年ぶりに不動産登記法が改正され、
2005年(平成17年)3月7日から、登記済権利証のかわりに登記識別情報が通知されるようになりました。
この時に和紙や上質紙で縦書きの登記済権利証から、登記所がプリントした登記識別情報通知に変わりました。
どのような登記情報なのかは、登記識別情報通知の上部に、
不動産の表示、不動産番号、受付年月日・受付番号、登記の目的、登記の名義人が表示されています。
登記申請された情報(登記の目的、原因、権利者、義務者、申請時の添付書類など)は、
登記識別情報と同時に通知される登記完了証により知ることができます。
登記識別情報通知の下部にある、シールを貼って隠してある「登記識別情報」は、
登記所が無作為に選んだ12桁の英数字です。
登記した情報の「暗証番号」のようなものだとお考えください。
●権利証との違い
登記識別情報の通知後は「この番号の所在を知っていること=不動産の権利者」となります。
不動産の権利者は、この番号が何であるかは知らなくてもよいのです。
番号が記載されているものを持っていて、かつその番号を他人に知られないことが重要です。
識別情報のシールは、今後売買や相続で権利移転をするなどで、
登記識別情報を提供する時までは勝手に剥がさず、厳重に管理をしてください。
もっとも、最近はこの登記識別情報に貼られたシールの糊が経年とともに変質して、無理に剥がそうとすると、
紙ごと破れるという事故?も発生しているようです。
司法書士や登記所の職員によると、上手に剥がすコツがあるそうなので、くれぐれも自分で無理に剥がしたりしないことです。
このように、権利証から登記識別情報に変わってから12年ほどですが、
多くの人が不動産の所有権移転を経験するのは、人生に1度か2度。
不動産の権利者になったら権利証という記憶があるのは、ごく自然なことです。
登記識別情報も登記済権利証と同様に厳重に保管管理を行ってください。