それぞれの特例の概要とは?

 

マイホームなどの居住用財産を売って売却益が出たとき、適用要件を満たしていれば、課税金額を抑えられる特例があります。代表的なのは「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と「特定の居住用財産の買換えの特例」ですが、この二つの特例はどちらかを選択した場合、もう片方の特例は適用を受けられなくなるので注意が必要です!まずはそれぞれの概要を確認しましょう。

 

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

不動産売却によって生じた譲渡所得から、最大で3,000万円を差し引いた金額に課税されます。

 

・特定の居住用財産の買換えの特例

平成29年12月31日までに居住用財産を売却し、別のマイホームに買い替えた場合に、譲渡所得への課税を将来に繰り延べできるという特例です。

 

3,000万円の特別控除の特例の方が有利な場合とは?

 

まず、3,000万円の特別控除の特例の方が有利な場合について。この特例を適用する際に、併せて知っておきたいのが「軽減税率の特例」。どちらも適用要件はありますが、それをクリアしていれば併用できるので、ぜひ一緒に覚えておきましょう。

 

「3,000万円の特別控除の特例」の適用を受けると、譲渡所得が3,000万円以下の場合は実質、税金がかからなくなります。3,000万円と言えばかなりの金額なので、課税金額が繰り延べされる「居住用財産の買い替えの特例」よりも、有利に働く可能性が高いです。

 

ただし、自営業などで国民健康保険に入っている方ですと、保険料の算出基準となる所得は3,000万円の控除をされる前の金額になります。翌年の国民健康保険料を計算してから、どちらの特例を選択するか決めた方がよいでしょう。

 

居住用財産の買換えの特例の方が有利な場合とは?

 

居住用財産の買換えの特例では、課税の繰り延べは可能ですが、非課税になるということではありません。将来、買い替えたマイホームを売却する際に課税金額が上乗せされます。つまり、最初の売却時には3,000万円控除の特例よりも課税金額が安く済んでも、次の売却時にはとても高い課税金額になってしまう可能性があります。

 

その点を踏まえた上で、居住用財産の買換えの特例の方が有利なのは、譲渡所得が3,000万円以上で、

1、買い替えたマイホームを、もう売却するつもりがない場合

2、買い替えたマイホームを売却するときに、さらに新しく買うマイホームの価格がその売却金額以上となる見込みの場合

になると考えられます。


居住用財産を売却した年”だけ”の課税金額については、計算式に当てはめればどちらの特例がお得か判断することはできますが、将来のことを見据えてよく検討しなくてはなりません。

 
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