不動産売却時には、瑕疵担保責任という言葉が出てきます。瑕疵(かし)とは、設備の故障や建物の傾き、雨漏りなどの物件の欠陥のことです。不動産を売却するときは、物件の瑕疵の状態や老朽化などを事前に確認しておく必要があります。それは、不動産売却後に思わぬトラブルを起こさないためです。
■瑕疵担保責任とは
不動産売却後に、不動産に隠れた瑕疵があった場合、売主が損害賠償などの責任を負うという約束です。隠れた瑕疵というところがポイントで、不動産売却時に気がつかなかった欠陥のことを言います。具体的にはどのようなことなのでしょうか。
■瑕疵担保責任を負わなければならない具体例
・雨漏りやシロアリの情報
・建物自体の腐りなどの欠陥の情報
・建物の地下部分の情報(地下室・池・水道管・排水管・浄化槽・井戸・ゴミ・ガラなど)
・給湯器や水道の給水装置などの設備の破損
・土地の境界線や形状などに関する情報
その他には、心理的瑕疵というものもあり、隠れた瑕疵にあたる場合があります。
■心理的瑕疵の具体例
・不動産での事故や事件などによる死亡、殺人、自殺などの情報
・不動産周辺での事故や事件、火災などの情報
・不動産周辺にある嫌悪施設(嫌われるような施設)の情報
では、瑕疵担保責任はどのくらいの期間まで責任を負わなければならないのでしょうか。
民法では、欠陥や瑕疵を知ってから1年以内であれば責任を負わなければならないようです。一般的には、期間を決めて責任を負うようにする条件をつけることがほとんどで、個人が売る中古住宅は3ヶ月、不動産会社が売る中古住宅は引渡し日から最低2年間となっています。民法の債権消滅時効では、10年経てば瑕疵担保責任は消滅することになっているようです。
■瑕疵担保責任免責とは
かなり古い不動産や、売主自身も中古で購入した古い不動産などにつけられている条件で、一切の瑕疵担保責任を負わないという意味です。古いというだけであって、危険な不動産というわけではありません。
瑕疵担保責任を負わなければならないのは、あくまでも隠れた瑕疵があった場合です。不動産売却時に「付帯設備および物件状況確認書」などできちんと説明・報告をして契約を締結すれば、隠れた瑕疵にはあたりませんので、瑕疵担保責任を負わなくて済みます。