住宅ローンが残っている物件は抵当権が設定されており、ローンを完済しない限り抵当権が残ってしまいます。残っているローンが支払えない場合は、抵当権が残っているため原則としてその物件を売却できません。
物件の売却価格がローン残債を超えれば良いのですが、ローン残債のほうが大きければ、残りを完済しなければなりません。預貯金などの自己資金でカバーできれば、ローンが完済できて抵当権を外すことができ、物件を売却できます。
物件が売却できるかどうかは、住宅ローンが残っているかどうかではなく、抵当権を外せるかどうかです。ローン残債を預貯金などの自己資金でカバーできない場合、買い替えローンを使うことで解決できる可能性があります。
■買い替えローン(住み替えローン)
買い替えローンは、新しく購入する住宅のローンと、ローン残債分を新たに借りるローンです。買い替えローンを組むことで売却物件の抵当権を外せるので、ローン残債がある場合でも物件を売却できます。
○メリット
・抵当権を外して物件売却が可能になり、新しい住宅に住める
・優遇金利を受けられる場合が多い
・譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例が適用できる可能性があり、総所得に対する所得税と住民税から残債分を控除できる
○デメリット
・物件売却と新居購入のタイミングが難しい
・通常の住宅ローンよりも審査が厳しく、借りられる人が限られてしまう
・安定した収入が得られる人など、借りる人の信用力が必要となる
現実的には、買い替えローンが組めない場合は物件売却を諦める方が多いようです。それでも売却を考えている方は、任意売却という手段があります。
■任意売却
収入の減額や失業などの理由により、住宅ローンの支払いができなくなった場合や、毎月の住宅ローンの滞納がある場合などに利用できる売却手段です。きちんと住宅ローンを支払っていた方は、任意売却の必要はありません。任意売却は、あくまでもローンが支払えなくなった方の最終手段と言えます。ローンの返済がなくなるわけではありません。
住宅ローンが残っていても、売却価格がローン残債よりも大きければローンが完済できますので、まずは物件の売却価格をしっかりと調べるようにしましょう。