たとえば、父親が亡くなり不動産を相続した場合、すぐに相続登記をしなければ面倒なことになることがあります。つまり、登記により誰のものなのかをはっきりさせておかないと思わぬトラブルを受けるかもしれないのです。
相続登記しないことによるトラブル
不動産を登記しないでいると、さまざまな問題が生じます。たとえば兄弟が相続人で兄が不動産を相続すると決めていたとしましょう。しかし、兄が自分名義で登記をしていないと、相続人である弟が先に登記をして自分の持分だけを売却することができるのです。また、弟が税金を滞納していたとしましょう。この場合、税務署が弟の持分について差し押さえることもできるのです。
兄が相続すると決めた不動産から、弟の持分が売られたり差し押さえられたりした場合、兄が不動産は自分のものだと主張しても、自分名義で登記をしていなければ不利益を受けても文句は言えません。兄が相続登記さえしていれば避けられたトラブルです。
遺産分割協議書を作成する
相続のときに相続人が複数いる場合、相続人の話し合いにより相続した不動産の名義を誰のものにするのかを決めなければなりません。これを遺産分割協議といいます。そして、相続人全員の署名押印のされた遺産分割協議書の作成が必要です。
相続登記申請書を提出する
相続登記には、「相続登記申請書」以外に「遺産分割協議書」「被相続人の戸籍謄本」「被相続人の住民票の除票」「相続人(全員)の住民票」「相続人(全員)の印鑑証明書」「不動産の固定資産評価証明書」「不動産の全部事項証明書」が必要です。
相続登記は、期限がありません。登記するのもしないのも相続人の自由とされています。しかし、登記していないために引き起こされるトラブルが多いことも事実です。また、費用については司法書士に依頼したとして、固定資産税評価額が3,000万円くらいの不動産で20万円程度でしょう。もちろん司法書士により異なりますので確認してください。
相続にトラブルは付き物です。相続したときは仲のよい家族でも、仲たがいすることもあるでしょう。「放っておいても大丈夫」と、そのままにして後で後悔しないためにも相続登記をおすすめします。