以前、自宅の売却を行ったときのことです。
不動産を売却するときには「瑕疵(かし)担保責任」という義務を負います。たとえば、雨漏りがする、床が腐っているなどの建物の欠陥部分が売却後に見つかった場合、売主が責任を持たなければならないという義務です。
買主の立場だと「瑕疵があるなんて聞いていない。」となるからでしょう。
瑕疵担保責任とは無過失責任のため、売主が瑕疵について知らなくても、売却後に瑕疵が発見されると買主から責任を追及されるという恐ろしい制度です。売却が完了したからといって、安心しているわけにはいきません。
ただし、売主が個人の場合には、売買契約のときに「瑕疵担保免責特約」を付して契約するのが一般的です。この特約は「売主は瑕疵担保責任を負いません」という特約であり、この特約を結ぶことで、売却後に瑕疵が発見されたとしても「私には関係ありません。」と胸をはれます。
ところが、注意しなければならないのは「瑕疵担保免責特約」を付けても、売主が瑕疵の存在を知っていたときには免責にはなりません。つまり、責任をとらなければいけないというわけです。
自宅売却時の葛藤
話は戻りますが、実は売却する自宅に瑕疵らしきものがあったのです。売却を考え始めた一年くらい前の台風のときに一部水漏れがありました。一回きりのことで、それも大雨が降ればという限定付きの瑕疵です。
免責の可能性が高い経年劣化ともいえなくはないので、その事実を相手方に伝えるべきか否か悩んだのですが、結局のところ気の弱い私は伝えることにしました。
結果として、そのおかげで買主からの責任追及を心配することもなく平々凡々と暮らしています。皆さんも不動産の売却時には「瑕疵担保免責特約」が付くと思いますが、既に知っている瑕疵について告げなければ、後日、責任を追及されるかもしれないことをお忘れなく。
自宅売却後、約10年の歳月が流れましたが、今でも大雨の日には思い出します。