ファイナンシャルプランナーの竹内です。

あるお客様の事例をご紹介いたします。

法人保有の土地を売却する時の注意点です。

土地の売却については消費税がかかりません。

よって企業が所有している土地を売却する時は、消費税のかからない取引となります。

消費税の納税義務がある企業の場合、少し面倒なことが起こることがわかりました。

まず、整理します。

1. 前提条件






単純に、売上、経費全てが消費税のかかる取引とします。
(1) 課税売上※1:6億円(消費税4,800万円) 
(2) 課税仕入れ:4億円(消費税3,200万円)
(3) 消費税納税額:1,600万円((1)-(2)= 4,800万円 - 3,200万円) 

※1 課税売上とは消費税のかかる売上、課税仕入れとは経費のうち、消費税のかかる取引をさします。

このように、企業の売上が全額課税売上である場合、課税仕入れに係る消費税額の全額(3,200万円)
を課税売上に係る消費税額(4,800万円)から控除することができます。

2. 土地の売却があった場合の消費税

「項番1. 前提条件」から、土地を売却した場合を考えます。
2億円で土地を売却した例を考えると、企業の売上は8億円(課税売上6億円、非課税売上2億円)
となります。
 
「項番1.前提条件」では、課税仕入れに係る消費税額の全額を控除することができましたが、企業の売上に
消費税のかからない非課税の売上(この場合、土地の売上)がある場合※2、控除することができる消費税
の額を「個別対応方式」または「一括比例配分方式」のいずれかの方法で計算しなくてはならなくなります。

※2:企業全体の売上が5億円超など一定の場合

 2.1 個別対応方式
   企業の課税仕入れについて、3種類に分類して、控除することができる消費税を計算する方法です。

   3種類とは、下記をさします。
    ・課税売上に対する仕入れ
    ・非課税売上に対する仕入れ
    ・どちらにも分類できない費用(課税売上、非課税売上、どちらにも分類できない経費)

 2.2 一括比例配分方式

   個別対応方式のように課税仕入れを3種類に分類することが事務負担等により難しい場合等に、課税仕入れに係る消費税額のうち、一定の割合だけを売上に係る消費税額から控除する方法です。

   具体的には、今回のケースでいうと、売上全体8億円に対して6億円の課税売上なので、6/(6+2)=3/4の割合を課税仕入れに係る消費税額に乗じます。

   つまり、課税仕入れに係る消費税額3,200万円の3/4が控除できる消費税額となります。

   前提条件と同様に整理すると

  (1) 課税売上:6億円(消費税4,800万円)、非課税売上:2億円(消費税0円)
  (2) 課税仕入れ:4億円(消費税 3,200万円)
  (3) 消費税納税額:2,400万円((1)-(2)×3/4= 4,800万円 - 2,400万円)

 消費税のかからない土地を売却したことにより、
消費税を多く納める(今回の例の場合、800万円)ことになってしまいます。

※税金については、税理士と連携し算出していただきました。また用語については、実際の税法用語と厳密に意味等が異なるものがありますのでご了承ください。
※お客様の情報については、許可を得て数値を変更して提示しています。

 
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