最近は金融機関からの不動産担保融資も担保条件が緩くなる傾向があり、相続税対策の資産家だけでなく、サラリーマンにもアパート・賃貸マンション経営に乗り出す層が増えています。ところで不動産収入に対して所得税はどのようなルールで課税されるのでしょうか?また、事業規模によって異なるのでしょうか?
所得税の基本
所得税は、個人が稼ぐ能力に応じて税金を負担する(応能負担)の考え方に基づき、所得が増えるほど税率が上がる超過累進税率を採用しています。具体的には、以下の手順で課税額を算定します。
各所得の区分
さまざまな所得を、給与所得(サラリーマンの給料)、退職所得(退職金)、事業所得(個人事業主の稼ぎ)、不動産所得(アパート・賃貸マンション経営による稼ぎ)、雑所得、配当所得、譲渡所得(不動産や有価証券の売却による利益)に区分します。
所得金額の算定
各所得区分には、所得税法に基づき、それぞれの所得の性格に応じて異なる計算ルールが定められています。このルールに基づき各区分の所得額を算定します。
総合課税と分離課税
次に、各区分の所得を合算して合計所得金額を算定します。さらに、ここから基礎控除・社会保険料控除などの人的控除を差し引き、課税すべき金額を算定し、超過累進税率を適用します。これを総合課税と呼びます。
ただし、有価証券や不動産の譲渡による所得は総合課税になじまないので、他の所得と分離して一定税率を適用します。これを分離課税と呼びます。
不動産所得の基本
不動産所得の範囲
不動産所得は、土地や建物だけでなく、区分地上権(地中や上空に対する権利、トンネルや高圧線が絡むと権利が生ずる)や占用権(河川や海岸の使用権、海の家などが絡むと権利が生ずる)、船舶・航空機の貸付による所得を含みます。
ただしレンタカー・レンタサイクルなどは含みません。
不動産所得の計算
総収入金額-必要経費の算式で計算します。必要経費に算入される範囲などは、事業の規模によって異なります。(2に続く)