都市計画における市街化区域農地については、宅地化を促進すべき地域とされ、農地も将来は宅地化されるものとみなして(実際に市街化区域農地の転用は届け出制です)、相続税についても宅地並み課税が原則とされます。ただし相続により農地を取得した相続人が農業を継続する場合には、納税猶予が認められ、20年間営農を継続すれば納税が免除されます。ただし例外があります。特定市街化区域農地です。

特定市街化区域農地とは

首都圏(東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県・茨城県)の106市、中京圏(愛知県・三重県)の28市、近畿圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)の56市内(ただし一部特定市については首都圏整備法に規定する既成市街地または近畿圏整備法に規定する既成都市区域内)に所在する市街化区域農地です。当該エリアは、市街化を優先すべき地域とされ、そのための様々な施策が打たれています。

その一環として農地の宅地並み課税が徹底されています。特定市街化区域農地等に対しては、農地等の納税猶予が認められません。かつては長期営農継続農地制度といって、10年間営農を継続すれば宅地並みの相続税課税を免除されていましたが平成3年に廃止されました。

都市営農農地等とは

上記エリアに所在していても、自治体により生産緑地地区の指定をうけた農地及び牧草地は、特定市街化区域農地等に含まれません(これを都市営農農地等と呼びます)。生産緑地地区の要件は以下の通りです。

・敷地面積が500平方メートル以上であること(所有者が複数でも可)

・日照や水回りなどの条件が営農に適していること

・実際に農業が営まれ、所有者全員の同意が取れていること

都市営農農地等は相続税の納税猶予が認められる(ただし20年の営農継続による相続税免除は適用外)他、固定資産税も農地並み課税がなされ、自治体からの営農指導も受けることができます。

一方で、市街化区域農地等では届け出だけで認められる農地転用はできません。

 
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