農地は、農地法等に基づき、他の用途への変更が厳しく制限されています。加えて農地としての面積当たりの収益は、宅地利用の場合の収益と比較して著しく低いのが実情です。
そうした事情を勘案して、一般農地については、今後も農業を継続していくことを前提に、農地としての売買実例価格をベースに固定資産税評価額が定められています。また、相続税評価額も固定資産税評価額をベースとした倍率方式で算定されます。この結果、一般農地の相続税負担は宅地に比べて低い水準に抑制されています。
市街化区域の農地等の相続税評価額
市街化区域における農地は、農地としての評価額と、宅地として売却した場合の実例価格との間に大きな乖離が生じています。さらに市街化区域農地は届け出さえすれば自由に転用できることも勘案し、その評価額は宅地比準方式によるものとされています。
(その農地を宅地として取引した場合の1平方メートル当たりの価額-※1平方メートル当たりの造成費の金額)×地積
※課税当局が定めます。国税庁ホームページで閲覧することができます。
ただし、市街化区域農地を後継者が一括して相続し、農業を継続する場合には、納税猶予の適用を受けることができます。この納税猶予額と利子税は、営農を20年継続した場合または後継者が死亡した場合には免除されます。
特定市街化区域農地等の相続税評価額
三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)の特定市(特定市街化区域)では、都市計画に基づく効率的な土地活用を目指しています。よって、区域内に所在する農地等に対しては転用を促進しなければなりません。そうした背景から、特定市街化区域農地等に対しては納税猶予が認められません。
一方で、特定市街化区域においても一定の緑地保全は必要であり、そうした面から一定の要件を満たすエリアを生産緑地地区として指定しています。この地区内にある農地等(都市営農農地等)に対しては納税猶予が認められます。ただし営農を20年継続した場合の免除は認められません。