税制改正における当局の方針は、法人税率の引き下げ、消費税率の引き上げ、そして富裕層に対する課税強化です。その一環として、広大地に対する相続税評価が平成29年度税制改正で見直されます。
広大地の相続税評価とは
国税庁では「その地域の標準的な敷地面積に対してかなり広大な宅地で、宅地開発の場合には都市計画法などにより通路の開設など一定の負担が必要なもので、マンション用地や工場用地を除く」とされています。
こうした広大地は土地利用が通常の土地より困難なことから、一定の減額が認められています。
広大地の範囲
三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏の既成市街地・近郊整備地帯等)の市街化区域では500平方メートル、それ以外の市街化区域では1000平方メートル、市街化区域以外では3000平方メートル以上の宅地とされています。
ただし、5万平方メートル以上の公共団地に所在する場合や、マンション開発に適する場合は、広大地に含まれないこととされています。何をもって開発に適さないとするかですが、国税庁ホームページでは指定容積率で区切っています。
その地域の指定容積率が300%以上の場合には、マンション建設に適した用地と判断します。ただし、前面道路の幅員等によって指定容積率の活用が難しい場合は除くものとしています。
難しいのは容積率が200%未満の場合は個別に判断することとされており、定義があいまいです。
通常の宅地の相続税評価額
路線価×敷地面積×奥行価格補正率(0.80から1.00)で計算します。
広大地の相続税評価
路線価×敷地面積×広大地補正率で計算します。
広大地補正率=0.6-0.05×広大地の面積/1000平方メートル
ちなみに敷地面積が5000平方メートルの場合の広大地補正率は0.35です。
平成29年度税制改正の見直し
税制改正大綱では、広大地は面積に応じて比例的に減額を認める方式を見直し、各土地の個性に応じて形状・面積を評価する方式に改めると同時に、今まであいまいだった広大地の定義を明確化することとしています。いずれにしても課税強化の方向は間違いありません。