オフィスビルや物流施設を建築して登記すると、翌年の1月1日時点の登記情報をもとにして、市町村かより5月か6月頃(自治体によって異なる)に固定資産税の納税通知書が送付されてきます。通知書には、土地・建物の固定資産税評価額と課税額が記載されているだけで、評価額の算定基礎はわかりません。特に、建物の固定資産税評価額が高すぎないか、検証方法はないのでしょうか?
検証ステップ1
固定資産税評価額の適正値は、おおよそ建築費の7割です。例えばオフィスビル建築に1億円かかっていた場合では、固定資産税評価額が8000万円、9000万円だったら、算定の誤りを疑ってみましょう。
何故間違いが起こるのか
建物の固定資産税評価額は、総務省の定める固定資産税評価基準により再建築価額によるものとされています。そのために自治体では、工事見積書・設計図書・竣工図面をもとに、実施調査を行ったうえで、構造別に建築資材を積み上げて積算しなければなりません。ところが、自治体の担当者はたまたま配属されただけで建築に関する専門的な知識を持ち合わせていません。そこで過大な見積もりが起こりがちなのです。
検証ステップ2
建物の固定資産税評価額は、家屋再建築評点計算書を算定基礎としています。ところがこの計算書は、通常納税者に開示されません。開示請求の方法は、自治体の税務課窓口に出向いて開示を請求する(意外とこれでOKというケースも少なくありません)、それでもだめなら自治体の情報公開条例を利用して開示請求します。
家屋再建築評点計算書の内訳
まず建物を構造別に主体構造部・基礎工事・外周壁と間仕切の骨組・仕上(内外、床、屋根)・建具・特殊設備・建築設備・仮設工事に分類します。次に再建築費評点基準表に基づき、分類ごとの評点を積み上げます。たとえば建具なら、扉・サッシ・シャッター・スライディングウオールといった部位ごとに評点数が定められており、材質によっても異なります。