住宅の売買や相続に関する優遇税制の中には、年収が高すぎると適用を受けられない制度がいくつかあります。ここでは、具体的に制限が課せられる優遇税制、制限のない優遇税制、制限の要件となる所得(年収ではありません)の概念について解説します。
所得の概念
優遇税制の一部、年収ではなく、合計所得金額によって制限が課せられます。
合計所得金額とは、給与所得、事業所得、雑所得などの各所得を合算した金額です。
(年収と所得の違い)
例えばサラリーマンの場合、年収から一定の給与所得控除額を控除した金額が給与所得です。個人事業主なら、収入金額から必要経費等を控除した金額が事業所得になります。
合計所得金額による制限が無い優遇税制
(所得税)
居住用不動産を売却した場合の3000万円特別控除や、10年超所有住宅に係る軽減税率の適用は、所得制限を受けません。
(相続税)
小規模宅地等の相続税の課税価格の特例(330平方メートルを限度面積とする80%の評価減)は、所得制限を受けません。
合計所得金額により制限を受ける優遇税制
(所得税)
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅購入後10年間に亘り税額控除の適用を受けることができますが、その年分の合計所得金額が3000万円を超える年は適用を受けることができません(その年以外は適用可。繰越控除の場合も同じ)。
住宅を売却した場合に譲渡損失が生じたときの損益通算および繰越控除
損益通算に関しては所得制限を受けません。ただし繰越控除(翌3年間)に関しては、その年分の合計所得金額が3000万円を超える年は適用を受けることができません。
(贈与税)
直系尊属より住宅取得資金の贈与を受けている場合の非課税の特例は、その贈与を受けた年分の合計所得金額が2000万円を超える場合には適用を受けることができません。
合計所得金額の証明
年末調整を受けているサラリーマンの場合はその年分の源泉徴収票、個人事業主の場合は確定申告書を税務署に提出します。