終戦時を除いて、明治以来一貫して増加し続けてきた日本の人口も、2015年の1億2806万人を境に、ついに減少に転じました。このまま少子高齢化が続けば、2060年度には2/3の8674万人まで減少すると言われています。
活況を呈する住宅建築と空家増加
一時は80万戸を割る水準まで落ち込んだ住宅着工も、最近では100万戸を伺うレベルまで回復してきています。相続税対策の賃貸物件がけん引役ですが、一方で持ち家や分譲マンションも好調です。こうした住宅建築のうち、古屋を取り壊して再建築した戸数は約8万戸で、残りの90万戸は新しい分譲地に新築しているのです。
人口が減る中で新築家屋が増えていけば必然的に空家の増加につながります。
統計上も、総住宅戸数は昭和40年代ごろから一貫して増加を続け、当時の2000万戸から3倍近い数字に達しています(もちろん人口はそんなに増えていません)。それにつれて空家の数も、平成25年現在で1000万戸に近づいており、住宅総数に占める空家の比率も13.5%を記録しています。
住宅建築の背中を押す住宅税制
その一方で国は、税金を投入して住宅建築を促し、空家を増やしているのです。
住宅ローン減税
住宅購入時に住宅ローンの融資を受ければ、各年末融資残高の1%を所得税額から控除でき、最大50万円の減税を10年間に亘り享受することができます。現行の住宅ローン減税は、景気対策の一環として平成11年度にスタートしました。一時的な税制として導入されたこの制度も、見直し縮小と拡大を繰り返し、現在に至っています。利用者は25万人近く、国庫の減収は年4000億円に達しています。
住宅取得資金の贈与の減税
直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合には、最大で1000万円まで非課税の適用を受けることができます。この制度も、昭和59年度の導入からすでに30年以上が経過しています。この間に非課税限度額も増額されるなど拡充が図られました。毎年6万人以上が適用を受け、非課税額は5000億円に達しています。