過去20年以上地価は一貫して下落傾向を続け、そうした中で相続財産に占める不動産の占める割合も低下しました。それでも、不動産は相続財産の半分を占め、今でもトップの座を確保しています。
三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)の中心エリアなどにお住まいで、店舗や持家を相続した場合には多額の相続税を課されかねません。他に相続財産が乏しい場合、生活や収入の基盤である宅地を売却しなければなりません。
そうした事情に配慮して、課税の公平性と国民感情を斟酌し、これらの宅地には優遇税制が設けられています。
小規模宅地等に係る相続税の課税価格の計算の特例とは
相続または遺贈により、被相続人(または被相続人と生計を一にしていた親族)が事業の用又は居住の用に供した宅地(普通借地権、定期借地権などの権利を含む。以下同じ)を、配偶者または生計一親族等が取得した場合において、一定の要件に該当するときは、一定の面積を上限として、評価減の適用を認めています。上限面積と評価減割合は取得した宅地の種類によって異なります。
上限面積と評価減割合
店舗※:400平方メートル、80/100
アパート・賃貸マンション、駐車場や駐輪場などの賃貸物件※:200平方メートル、50/100
持家やマンションなど住宅用宅地:330平方メートル、80/100
※被相続人やその親族等が株式の50%超を保有していた同族会社に賃貸していた宅地を含む
店舗と住宅の両方を相続した場合
従来は、店舗の敷地面積と住宅の敷地面積の5/3相当分の合計が400平方メートルに達するまでの部分が上限面積とされていました。
これが税制改正により、平成27年1月1日より、店舗と住宅の敷地面積合計が730平方メートルまで認められるようになりました。
店舗・賃貸物件と住宅の両方を相続した場合
店舗の敷地面積の200/400相当分、住宅の敷地面積の200/330相当分と賃貸物件の敷地面積の合計が200平方メートルに達するまでの部分が上限面積です。