不動産を相続した場合、申告期限までに換価が難しく、納税資金が手当てできず延納を申請するケースが起こりがちです。
その他、市街地で耕作を営んでいる農家にとって相続税は悩みの種であり、多くの農業相続人が納税猶予の制度を活用しています。ただし、こうした制度の適用を受けるためには、納税猶予額及び利子税の額相当分の担保の提供が必要です。
担保の種類及び提供の手続き
担保資産ごとに担保提供書を作成します。提供書には、税目・納期限・増税猶予額の内訳(本税・利子税等)・担保資産の種類を記載します。この他、提供資産ごとに異なる書類の添付が必要です。
国債・地方債・社債
添付書類:供託所正本を提出します。
担保のための供託書を供託所に提出し、供託官より供託受理決定通知書の交付を受けます。次に交付された通知書を、債券の口座を管理している金融機関に提示し、振替の手続きを申請します。その後、供託官から振替の手続きが記載された旨の供託所正本を受領します。
上場有価証券
添付書類:担保振替に関する受入完了通知
税務署が指定する証券会社に口座を開設し、有価証券をその口座に移し替え、税務署口座(質権欄)への振替を申請します。振替後、証券会社が完了通知を交付します。
不動産または航空機・船舶・自動車などの動産※
※建物および動産は保険が付されたものに限る
添付書類:抵当権設定登記承諾書(第三者がその財産を所有している場合は、その者の記名捺印が必要)、印鑑証明書
なお、抵当権の設定登記は税務署長が行い、登録免許税はかかりません。
保証人による弁済保証
添付書類:納税保証書および保証人の印鑑証明書
この場合の保証人とは、金融機関など税務署が充分に資力があると認めるものに限られます。
担保の評価
資産の種類ごとに定められています。
国債・地方債・社債・上場有価証券:額面価額の8割
土地:時価の8割
建物:時価の7割に担保を提供している期間の価値の減少を反映した価額