嫁と姑、もとはといえば赤の他人です。別々に暮らしているときは気心が通じていても、同居となると訳が違います。とくにキッチン・リビング・バス・トイレといったスペースがシェアされるとなると、お互い気になる面が見えてきます。知らず知らずに溝が深まっていたり、気が付いてみると抜き差しならない状況に、なんて話は山ほど転がっています。

税制面でも有利な分離型二世帯住宅

そんな訳で、最近の二世帯住宅は、玄関からしかお互いが出入りできないような分離型が流行りです。かつては、分離型の二世帯住宅を相続しても、小規模宅地等の課税価格の特例は認められませんでしたが、法改正により平成26年から、一定の要件を満たせば適用を受けられるようになりました。

小規模宅地等の課税価格の特例とは

住宅が配偶者をはじめとする親族の生活基盤である点を斟酌して、税負担の軽減を図る制度です。同居親族が相続することなどを条件に、宅地の240平方メートルまでの部分について80%の評価減を認めています。

分離型二世帯住宅の取扱い

かつては分離型二世帯住宅は一体の建物と認められず、二世帯は同居しているとはみなされませんでした。つまり、課税の特例の要件を満たしていなかったわけです。

これが税制改正により、平成26年より、二世帯住宅も一体の家屋とみなされることとなり、同居親族の要件を満たすこととなったのです。

建物の登記に落とし穴

ただし、建物の登記には落とし穴があります。例えば1階をご両親、2階に息子さん夫婦が暮らしている場合、1階・2階を区分所有登記すると、それぞれは別の建物とみなされます(所有者が誰であるかを問いません)。二世帯住宅全体を一体の建物として登記することが肝心で、もし息子さんも資金を拠出したなら共有登記しなければなりません。

亡くなった後の利用法は難しい

建物の内部で行き来ができないのは、ご両親の存命中には意味があります。ところが、亡くなったとたんに意味をなさない、却って不便です。賃貸を含めて事前のプラニングは欠かせません。

 
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