欧米では古くから中古住宅市場が定着しています。国土交通省の調査によると、アメリカでは住宅流通の90%、イギリスでも85%を中古住宅が占めています。一方で日本の場合、中古住宅は全体の13.5%に過ぎません。

アメリカの住宅事情

アメリカでは中古住宅をUDED HOMEではなくEXISTING HOME(存在する家)と称して、新築住宅と対等の価値があるものとみなしています。そんな住宅市場ではホームインスペクターによる品質確認が徹底され、建築構造はもちろん、冷暖房、給排水、内外装、電気・ガス設備と隅々まで検査されます。

そうした流通市場に耐えうるよう、アメリカの住宅はしっかりした建材で建築され、オーナーはこまめな手入れを怠りません。手入れが行き届いたこうした住宅は、価値が落ちないだけではなく、むしろ値上がりするケースもあるのです。実際にアメリカの住宅市場では、土地・建物の価格比は2対8と言われています。日本では考えられない数字です。

日本の住宅事情

日本の場合、東京などの大都市では家は借りるのが当たり前で、住民の8割が借家に住んでいました。住宅も粗悪・狭小で、「擦り切れ畳の6畳1間、隣の茶碗の音がする」長屋住宅が林立していたのです。

戦後の高度成長期に大量に新築住宅が供給されるようになりますが、まずは質より量が優先されたのです。そんな背景もあって日本人には「中古住宅=粗悪」のイメージが染みついたのです。

少しずつ定着している中古住宅市場

欧米と比較するとお寒いばかりの日本の中古住宅市場ですが、時系列で追うと、25年前の5%強からは倍以上に成長しているのです。

人口減と高齢化が進む中で、大量に新築住宅を分譲し続ける時代は見直さなければなりません。そうした認識のもと、政府は長く使い続ける住宅の建築を促すと同時にリフォームを含めた手入れを後押しし、健全な中古住宅市場とリフォーム市場の活性化を実現すべく、長期優良住宅認証制度の導入など、様々な手を打ってきたのです。

 
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