最近では公示地価も持ち直しの傾向を見せています。ただし、都区内西南部や横浜市東北部などの人気エリアを除き、長期的スパンでの下落傾向は顕著です。例えば首都圏ベッドタウン柏市の住宅地公示価格は、20年前の坪単価100万円から、2016年は36万円と4割以下の水準まで落ち込んでいます(江戸川台駅周辺の相場を参照)。
不動産を売却しても借金が残る
首都圏ですら地価の下落が進むのですから、地方都市ではさらに厳しい状況が続いています。こうした値下り物件を何らかの事情で売却する場合、譲渡価格より住宅ローン残債が上回るケースも多いのです。
日本の住宅ローン契約では、住宅ローンが残った場合は、ほとんどのケースで債務者が弁済しなければなりません。これが住宅ローン地獄の元凶と呼ばれています。
こうした住宅ローンのタイプをリコースローン(recourse loan、遡及型融資)と呼び、担保を超える部分の返済は個人が保証する、つまり借りた人が全資力をつぎ込んで返さなければなりません。
欧米の場合はノンリコースローンが主流
一方で、欧米の場合はノンリコースローン(non-recourse loan、非遡及型融資)が主流です。融資の返済義務が担保財産の範囲に限定されるので、返済できなくなったら担保の持ち家は手放さなければなりませんが、それ以上の返済は求められません。責任財産限定特約付きローンとも呼ばれます。
日本でのノンリコースローン
住宅ローンはまだまだですが、賃貸オフィス物件などではノンリコースローンが浸透しつつあります。スキームとしては特別目的会社を設立しそこに融資する形をとります。貸倒リスクを抑えるために、融資側は特別目的会社の収益性を評価します。
ノンリコースローンのデメリット
ローンが残る場合のリスクは融資側が被ることになるので、金利には当然プレミアムを乗せてきます。さらに、担保価値の評価はより厳しくなります。
金融機関同士の住宅ローン獲得競争が厳しい中、日本にもまもなくノンリコースが上陸するか、今後に注目です。