昭和43年に都市計画法が成立、以降日本は50年近くにわたり、市街地開発をすすめてきました。それから50年近く、グローバル化による生産拠点の移転、少子高齢化と人口減少の加速に対し、既存の都市計画では立ち行かなくなっています。具体的には、財政難が進む自治体は、野放図に広がる市街化エリアに公共サービスを提供できないのです。
そんな中で、2014年に「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」が成立、国土交通省が旗振り役となって、全国自治体で立地適正化計画が本格的にスタートしました。
計画自治体は301市町村
2016年2月には第1号として大阪府箕面市が計画を公表しました。2017年3月時点では熊本・札幌・和歌山などの県庁所在地をはじめとして19市町村が導入しています。今後計画を予定している自治体は301市町村にのぼります。
箕面市では、都市計画審議会の中に立地適正化計画小委員会を設けて計画の具体化を進めています。検討範囲は、子育て・教育、保健医療・福祉、公共交通、スポーツ・ヘルスケアの分野におよび、市の担当部局(福祉・防災・教育・商工・農業)と連携しながら進めます。適正化の時期は、20年後を見据えています。
多くの自治体は、箕面市と同じ体制のもと、計画を推進しています。
立地適正化計画とは
立地適正計画では、市街化区域を居住誘導区域と居住調整区域に区分されます。居住誘導区域内には都市機能誘導区域内が設けられ、医療・福祉・
教育といった社会基盤が誘致されます。同時に公共交通との連携により、区域内住民の利便性を促します。
逆に居住調整区域は今後宅地化を抑制すべき区域とされ、社会基盤の誘致には一定の制約を受けます。市街化調整区域とは異なり、都道府県知事の開発許可が必要なわけではありませんが、病院などを建設しようとしたら、自治体から計画見直しの勧告を受けるケースが増えるでしょう。
当然こうした動きは、不動産価格へ波及するでしょう。不動産の購入時には、その不動産が何の区域に該当するか、確認が欠かせません。