日本の税制は、納税者が自ら税額を計算し申告・納付する申告納税方式を基本としています。

一方で、固定資産税はいわゆる賦課課税方式を採用しています。つまり課税側である市町村(東京特別区は都税事務所)が、課税標準である固定資産税評価額を算定し、一方的に納付額を通知してきます。

固定資産税が賦課課税を採用しているのは、土地建物の登記情報が市町村に寄せられるため納税者の申告が必要ないこと、建物の評価計算が複雑かつ専門的で納税者の手に余ることによるものとされています。

誤りが多い固定資産税評価額

ところで、市町村の税務課職員がそんなに専門的知見を持っているのでしょうか?実際はそうでもないのです。とくに不動産や建築を学んだわけではなく、たまたま税務課に配属された職員が多いのも事実です。とくに高層ビルなど構造の複雑な物件には四苦八苦しているのが実態です。そして実際に間違いが多く、REIT(不動産投資信託)などからの還付請求も相次いでいます。

具体的な審査の申立て

期日

固定資産課税台帳に登録された土地・家屋の評価額に不服がある場合には、納付通知書を受け取った日の後3か月以内に、固定資産評価委員会に審査を申し立てることができます。申し立ては郵送によっても可能で、その場合の申立て日は消印によるものとされています。

なお土地の評価額決定年度(基準年度)は3年に1度であり、原則として基準年度以外に審査申し立てはできません。ちなみに次の基準年度は平成30年です。

提出者

審査の申し出ができるのは、あくまで所有者に限られます。借地人や借家人は申立てできません。

書類および記載事項

審査申立書の様式は市町村によって異なりますが、台帳に登録された価格がなぜ不服かの理由、修正を希望する価格およびその算定根拠、納税通知書や固定資産税価格決定通知書の交付を受けた日を記載します。

審査の手続き

書面審理が原則ですが、必要な場合は口頭審理・実地調査を実施します。審査決定は却下、棄却、認容のいずれかによりなされます。

訴訟の提起

審査結果に不服がある場合には、決定がなされた後6か月以内に訴訟を提起できます。

 
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