同居していた親が亡くなり、持ち家の敷地を相続する場合には、特定居住用宅地として、330平方メートルまでの部分に限り80%の評価減が認められます。これは、持ち家が同居親族にとってのかけがえのない生活の基盤であることに鑑み、重い税金を課すことは、課税公平の見地および国民感情の面から適当でないとして、特例が設けられたのです。では、親が介護施設に入居していた場合はどうでしょう?
介護施設に入居していても特例が認められる事情
平成26年の税制改正により、以下の事情がある場合には、親が亡くなる時点において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地に対しても、特例の適用が認められるようになりました。
親が要介護認定等を受けていたこと
介護保険法などでは、介護の必要な老人を、その重い順に要介護認定(介護レベル5-1)・要支援認定(介護レベル2、1)・基本チェックリストの各段階に区分しています。要介護・要支援に加えて、平成27年度税制改正により、基本チェックリストに該当する場合も、特例が認められるようになりました。
ちなみに死亡時においてこれらの認定等の申請中であっても、認定を受けていたものとみなして、特例の適用が認められます。
老人ホームなどに入居していたこと
特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・有料老人ホーム・認知症対策施設・介護老人保健施設の他、より軽度なサービス付き高齢者向け住宅に入居していた場合にも、特例の適用が認められます。
介護施設入居により特例が無条件に認められる訳ではない
住居の居住状況別に、相続した者が誰であるかによって、特例の適用が認められます。
親が一人で暮らしていて、入居後は空き家となった住居
親の死亡前3年以内に、本人または配偶者が所有する家屋に居住したことがない親族が相続
親が一人で暮らしていて、入居後は生計一の親族が居住している住居
その居住している生計一親族が相続
親が生計一親族と同居していて、入居後は同居親族が引き続き居住している住居
その同居親族が相続