毎年7月に国税庁が公表する路線価は、世間一般によく知られて、地価の傾向やエリアによる人気度を測るバロメーターとしても活用されています。ところが、路線価に基づき算定される相続税評価額の計算方法は意外と知られていません。面している道路の路線価×敷地面積=相続税評価額と、
単純に考えている人も多いようです。
一つの道路にだけに接している宅地の評価方法
相続税評価額=正面路線価×敷地面積×※奥行価格補正率
※奥行価格補正率
道路からの奥行きがあまりに深かったり、逆にあまりに浅すぎると、同じ面積の宅地でもその分使い勝手が悪くなります。奥行価格補正率は、奥行による使い勝手の悪さを相続税評価額に反映させる率なのです。
奥行価格補正率は、地区区分によって異なります。例えば普通住宅地区の場合、10mから20mが最も使い勝手が良いとされ、補正率が1.0です。一方、ビル街地区では44mから92mが補正率1.0です。普通住宅地で92mはかなり使いづらいとみなされ、補正率は0.81です。
<計算例>
路線価500千円、敷地面積100平方メートル、奥行8m(奥行価格補正率0.97)の普通住宅地区の土地
相続税評価額=500千円×100平方メートル×0.97=48500千円
角地の宅地
角地の相続税評価額=正面路線価(接している道路のうち高い方の路線価)×敷地面積+側方路線価(低い方の路線価)×敷地面積×側方路線加算率
角地の宅地は、それだけ使い勝手が上がります。側方路線加算率は角地の使い勝手を反映させます。
・地区区分によって加算率が異なります(普通住宅地区では0.03、ビル街地区では0.07)
・屈折している道路に面している宅地は準角地とされ、加算率が異なります
形がいびつな宅地
形がいびつな宅地も、使い勝手を補正します。具体的には、以下の手続きを踏みます
・不整形の宅地に長方形の整形地を投影する
・はみ出した部分をかげ地割合として算定する
・地区区分ごと、かげ地割合ごとに設定された補正率を適用する
この他、間口狭小、奥行長大など、さまざまな補正率が適用されます。