生産者の高齢化と後継者不足、周辺の都市化進行もあり、市街化区域農地は減り続けています。平成5年12.8万ヘクタールが平成26年には6.3万ヘクタールと、ほぼ半減したのです。都市計画法では、市街化区域は宅地化を促進すべき地域と定義づけられており、都道府県や市町村が行う都市計画上の規制や政策も宅地化を後押ししています。
そうした中で、市街化区域農地の転用はどんな流れになっているのでしょう。市街化調整区域内の農地と異なるのでしょうか?
市街化区域農地の転用手続き
市街化区域農地の転用は、許可制ではなく届け出制です。1970年の農地法改正で、市街化区域農地の宅地化を促進するために届け出制に緩和されたのです。具体的には、各市町村の農業委員会に届出書を提出し、受理されれば転用が認められます。受理までの流れは自治体によって若干異なり、書類に不備が無ければ翌日には受理する自治体もあれば、転用による紛争の可能性がある場合には一旦農業委員会で審議する自治体もあります。
農地転用は、所有者が変わらず農地以外の用途に変更するケース(4条転用)と、所有者そのものが移転するケース(5条転用)に分かれ、届け出内容が異なります。
市街化調整区域内農地の転用手続き
都市計画法では、無秩序な宅地化の拡大を防止するために、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分(これを線引きと呼びます)することとしています。市街化調整区域は宅地化を抑制すべき区域として、開発行為は原則として認められません。
農地の転用も届け出制ではなく許可が必要です。具体的には、以下の手続きを踏みます。
・農業委員会での議決を得る
・都道府県知事に意見書を提出する(規制緩和により、一部の都道府県は特定の市に権限を委譲)
・農業会議等での諮問
・30アールを超える農地転用の場合には農林水産省(地方農政局)と協議
・知事より申請者に通知
転用の許可基準は、その農地の区分(第1種-第3種農地等)によって異なります。