不動産を売却した場合には、その譲渡所得に一定の税率を乗じて所得税が課されます。譲渡所得の計算式は以下の通りです。
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
今回はこの取得費について解説します。
取得費の原則
取得費とは、土地・建物の購入に要した金額です。具体的には、購入・建築代金の他、仲介手数料、土地の造成費・測量費、建物の増改築費を含み、建物の減価償却相当額を差し引きます。その他に購入・建築時に支払った以下の費用を含みます。
・購入した賃貸物件の、借主に支払った立退料
・古家の取り壊し費用
・土地・建物の所有権の係争に関して支払った弁護士費用等(遺産分割の場合を除く)
・登録免許税・不動産取得税・印紙税(その土地・建物が事業用に供される場合を除く)
減価償却相当額の計算
事業の用に供していた建物の場合、必要経費に算入できなかった部分も含みます。
上記以外の建物の場合、耐用年数の1.5倍に応じた旧定額法により計算できます。
相続税も取得費に加算できる
相続または遺贈により取得した土地・建物等を、一定期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち譲渡した土地・建物の価額に相当する部分を、譲渡資産の取得費に加算できます。
・一定期間とは、相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以降3年以内の期間です
・相続または遺贈により取得した土地等には、相続時精算課税の規定による贈与財産および相続開始前3年以内の贈与財産を含みます
借入金の利子を取得費に算入できる場合
土地・建物の購入・建築のために調達した借入金の利子は、借入れた日からその土地建物を使用するまでの期間に相当する分を取得費に算入できます。ただし借入金の利子を事業所得または不動産所得の金額の計算上、必要経費の額に算入している場合には、取得費には算入できません。
取得費が不明な場合
先祖伝来引き継いできたり、取得が半世紀以上前の土地・建物だと、購入代金や建築代金が不明のケースが想定されます。こうしたケースでは、概算法すなわち収入金額の5%相当額を取得費とみなします。